Tag Archives: 葡萄栽培

ワイン・ニュースのまとめ

先週のワイン関連のニュースをいくつか。 先週はカリフォルニアでの長期に続く<干ばつ状態>に対してブラウン州知事が「緊急事態宣言」を行なったことで一般市民や農業に与える影響に関連するニュースが多く紹介された。特にカリフォルニアの農業に関して水不足で様々な問題や困難をこの先、覚悟しなければことに関するニュースが多く取り上げられているのだが、その中でナパからは比較的に楽観的な感覚のニュースが届いた。 ナパがカリフォルニアのワイン産地の代表格で、上質なワインを生産する産地であるからこそ、多くの畑所有者は潤沢な資金を活用し、今回のような事態に備え様々な対策をとっている。例えば、ナパ・バレーの谷底に位置する畑の多くには地下水システムを導入している。 トレフェセン・ファミリー・ヴィンヤードでは地面に無数のパイプ(上部に無数の穴が開いてある)が張り巡らせており、葡萄の木に吸収されない雨水などはパイプの穴を通じて、敷地内の人工貯水湖に集められる。春先に起きる霜被害など灌漑が必要な場合、貯水湖の水を活用し対処する。このように<リサイクル型>の地下水システムを活用しているナパの谷底畑は多く存在する。 また、地下水システムと平行に有機堆肥をふんだんに葡萄の木の周りに撒き散らし、水分の吸収力と吸引力を高める工夫を行なう。潤沢な資金がある畑のほど多くの堆肥を購入することができ、畑作業員を雇い、手間がかかる作業を実施することが可能となる。 ナパで人工貯水湖を活用している畑。 (イメージ:Stanford Universityより) もう一つ、ナパとその他のバルク・ワイン用の葡萄栽培を行なっている産地との大きな違いは、ナパでは単純に大量の葡萄を栽培すのが目的でなく、味わい深い熟成が完璧な状態の葡萄を造ることであって、雨もこのような葡萄を造るのに一つの要素だが、重大な要素でもない。 気温が高い年のほうが、出来栄えがよい条件の年となり、寧ろ歓迎される。過去に1978年と1979年でもカリフォルニアで<干ばつ>の関係で緊急事態宣言がされたが、78年と79年は共に<いいヴィンテージ>の評価が残っている。全体でよい葡萄を栽培するには頻繁に間引きを行ない、摘むタイミングを判断する。特にここ2年続けて豊作であったため、間引きで収穫量を少し落とすことに抵抗感を持つ生産者はいない。 一方、セントラル・バレーなど大量の葡萄栽培を行なう産地では、質よりも総生産量で<よい年>や<ダメな年>と判断することから、少しでもコストをかけずに高い栽培量を維持する栽培方法があれば、その方法が採用される。安定的に栽培量を維持するためには灌漑は最適で、これができなくなると死活問題となる。 ワイン産業よりも長期的な<干ばつ>で大きく影響される産業は存在し、その点では幸運とも言えるが、一般的にはワイン産業=農業、農業=大量の水を使用との印象が強いため住民などからの苦情や不満が出る。現在、パソロブレスAVAでは点で大きな議論が起きており、近日中にこちらのニュースも紹介させていただきたいと思っています。 (ニュース・ソース:Wine-searcher.comより) *** 例年のマスタードの花が開花する様子。 (イメージ:Napa Valley Register/J.L. Sousaより) 葡萄栽培に関しては今回の<干ばつ>ではまだナパでは大きな目に見えた変化はまだ感じられないが、冬の間の風物詩であるマスタードの花は今年はお目にかからないこととなった。 ナパでは冬の間、葡萄の木が冬眠状態に入り、土壌の侵食作用防止や栄養補給を目的に<Cover Crop/カバー・クロップ>が活用され、多くの畑はマスタードを植える。 ナパの冬の風景は一面真黄色の畑は、一年でもっとも絵になる風景であるとも言えるが、<干ばつ>の影響で多くのマスタードの苗が枯れてしまい、1月に黄色の花をつける畑はほとんどないと地元紙が紹介している。 今年の冬の畑の様子。 (イメージ:Napa Valley Register/J.L. Sousaより) (ニュース・ソース:Napa Valley Registerより) *** (イメージ:Vintageより) 最後はナパ・バレーの舞台裏を紹介するドキュメンタリー・テレビ番組がPBS系列の局で全国放映される。全6話(各30分)のシリーズは2012年のヴィンテージで収穫時から3人のワインメーカーの様子を追う内容。3人のワインメーカーはすべて女性醸造家で、<Markham Vineyard/マルクハム>、<Rutherford Hill/ラザフォード・ヒル>、<Chimney Rock/チムニー・ロック>でそれぞれ活躍する。 今回、ドキュメンタリー番組の主人公となる3人のワインメーカー。 (イメージ:Vintageより) 予告編を見るとどちらかとリアリティー番組系よりも真面目なドキュメンタリーに近い感じがする。ただし、番組の紹介ページを読むと、故里に戻る人がいれば、身内に突然の悲しいニュースが飛び込んで来るなどと人間模様でドラマチックな展開もあるよう。一方で2012年は実際にカリフォルニアにとって久しぶりに豊作だったため、収穫のタイミングや醸造工程を維持する難しさなどがそれぞれのワイナリーで異なった状況を紹介しているよう。 … Continue reading

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ソノマの畑を100%サステイナブルに・・・

(イメージ:Sonoma County Grapegrowersより) 今週の15日にソノマのサンタ・ローサ市でソノマ・カウンティ・ワイングレープ委員会が主催する第23回の<Dollar & $ense Seminar and Tradeshow>が開催された。 このイベントはワイン業界用の展示会でありながら、ソノマでワイナリーや畑を営む関係者にソノマ・カウンティ・ワイングレープ委員会の活動の近況報告を行なう機会でもある。報告には2013年でソノマで栽培された葡萄の相場価格の集計をもとに2014年度の相場を予測するプレゼンテーションなどが行われたが、今回のイベントで最も衝撃的な発表はソノマ・カウンティ・ワイングレープ委員会の代表のカリッサ・クルース氏が5年後にソノマ郡ですべての畑とワイナリーを100%サステイナブルを目指すことを宣言した。この目標が達成さればアメリカでは初の100%サステイナブル産地となる。 ソノマ・カウンティ・ワイングレープ委員会の代表クルース氏のプレゼン。 (イメージ:Sonoma County Winegrowers/Facebookより) 現在、ソノマ郡の約6割(3万7千エーカー)の畑がサステイナブル資格取得または取得中。サステイナブル資格はカリフォルニア全体を管轄するCalifornia Sustainable Winegrowing Allianceが設定した基準で行なっている。 現段階では自主的なそれぞれの農家やワイナリーが資格を取得し、資格取得に必要な費用もすべて個々で行なっているが、クルース代表の説明によると、大手スーパーなどはオーガニックやサステイナブルなど何らかな団体からの資格を取得しなければ食材・食品を取り扱わない基準を設け始めており、流通に加わりたいのであれば、必須条件にもなってきていることを強調し、資格を取得しないほうか、経営面で考えても、5年後には損をすると説明を行なった。またソノマ・ワインが<サステイナブル>の言葉と完全にリンクアップするマーケティング効果は計りきれない結果をもたらすと加えた。 環境面での効果は当然で畑の土壌および周辺の自然環境に負担を与えない手段を取り入れて農業を行なうことがサステイナブルの取り組みで、不必要な農薬や肥料を使用しないことを主な特徴となっている。 灌水用のホースを葡萄畑に張り巡らせるのもサステイナブルの手法。 (イメージ:SF Chronicle/Brant Wardより) 今回のイベントに参加し、ソノマではいち早くオーガニック農法を取り入れ、現在ではオーガニックやサステイナブルに切り替えるをコンサルティング業も行なっているフィル・コトゥーリ氏は今回の試みは大いに賛成だが、ソノマ郡全体をサステイナブルにするには不可能とも述べている。個人経営の畑が多く存在する産地で、アメリカが民主国である以上、強制して違法行為を行なっていなければ、やりたい農法で栽培を行なうことができるはずと説明。サステイナブルの意識を高め、5%でも農薬を減らすことができれば十分意味があると加えた。 中央にソノマ・サステイナブルの先駆者のフィル・コトゥーリ氏。 (イメージ:Susana Millman Photographyより) 一方、ソノマ・カウンティ・ワイングレープ委員会はソノマを代表する大手生産者の協力と理解をすでに獲得しており、ワイン・グループ会社の大手のコンステレーション社やケンダル・ジャクソンでおなじみのジャクソン・ファミリー・ワイン社からの代表者が今回の計画に賛同しており、教育および協力する意思を示している。 サステイナブル葡萄農法のガイドブック。 (イメージ:SF Chronicle/Brant Wardより) ちなみに今回のイベントで2013年のソノマ産葡萄の取引価格が下記のとおりに公表された。 カベルネ・ソーヴィニヨン(最も安定)2013年総生産量:4万5千トン 2010年:1,232ドル(1トン価格) 2013年:2,424ドル(1トン価格) ピノ・ノワール(90年代の4倍)2013年総生産量:5万トン 2010年:1,861ドル(1トン価格) … Continue reading

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<極循環>現象がアメリカのワイン産地を襲う

1月6日のフィンガーレイクのホスマー・ワイナリーのリースリング畑の様子。 (イメージ:Hosmer Winery/Facebookより) (イメージ:High Heeled Travelerより) アメリカ北部では1月に入って南極の寒さを上回る「極循環」(きょくじゅんかん/英語:polar vortex)現象が発生し、ニューヨーク州西部のフィンガーレイク産地でも今回の極寒の影響が大いに心配された。今月の6日あたりからシカゴやミネアポリスなどの都市では-12℉(-24.4℃)まで気温が下がった。ニューヨークのフィンガーレイクの一部では-10℉(-23.3℃)まで下がり、科学的な証拠はなく、状況や台木の種類にもよるが、通常では3時間以上-10℉に温度が下がると、葡萄の木が枯れると理解されている。葡萄の木が完全に枯れなくても、<芽/つぼみ>が枯れるケースがあり、今週に入って多くのフィンガーレイクの葡萄農家は葡萄の木の健康状態の検査に追われた。 (イメージ:Shaw Vineyardsより) 30年以上の葡萄栽培の実績を持つ<Shaw Vineyard/ショー・ヴィンヤード>は調査結果を地元紙に公表し、実際の葡萄の木が完全に枯れるダメージはなかったが、この先今シーズンの<芽/つぼみ>が通常通りに発するのかは春になるまで判断できないと取材に答えた。ショー・ヴィンヤードの創業者のスティーブ・ショー氏によると最悪でいくつかのケースを頭に入れなければいけないと説明。まずは例年と比較して量と品質の低下。春の段階で<芽/つぼみ>が出ない場合、部分的に新たな接ぎ木を行なうことも視野に入れなければいけない。そして、最悪の事態として台木ごと完全な植え替えを覚悟をしなければならない。極端な寒さだけでなく、低温から温度が急激に上昇すると、土壌に染み込んだ水分が根や樹幹に吸収され、氷状態から液体状態に急に変化するとひびが入ってしまい、ひびが広がると台木ごと枯れるケースがある。 ショー・ヴィンヤードで<芽/つぼみ>の調査が行われた様子。 (イメージ:New York Cork Reportより) 今回の「極循環」現象でフィンガーレイクでは-3℉~-8℉の気温の報告が複数の畑から届いており、多少の<芽/つぼみ>のダメージ想定を覚悟している。一方で今週に入って50℉まで気温がのぼり、雪が溶け始める事態も起きており、急激な温度変化の心配が種となってしまっている。 ニューヨーク州から少し西に行ったオハイオ州やミシガン州はここ数年ワイン産業が盛り上がってきているが、「極循環」現象でニューヨークよりも気温が下がり最悪の事態は免れたのかが気になってしまう。 (イメージ:Huffington Post/Jan Diehmより) (ニュース・ソース:New York Cork Reportより)

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カリフォルニア2011<苦戦のヴィンテージ>の評価

カリフォルニアの2011年ヴィンテージは<苦戦のヴィンテージ>として業界では語られる。この<苦戦のヴィンテージ>からいよいよの赤ワインがリリースされる時期になっており、ワイン専門誌では徐々にその正体を明らかにしている。 (イメージ:Dutton-Goldfield Winery/Facebookより) まずは<苦戦のヴィンテージ>の由来を振り返ってみよう。2011年と言えば国内では東北での震災の年で津波被害からの建て直しや放射能漏れなどと日本全国で景気の冷え込みが長期に続いたが、カリフォルニアでは違った意味の冷え込みが長期に続き、葡萄栽培に関して多くの農家が苦戦した。 春先には北カリフォルニアでは雨が4月に入っても治まらず、つぼみ/芽の開花が大幅に遅れた。中央や南カリフォルニアに関しては春先には同じく気温が上がらず、霜の被害がパソロブレスからサンタバーバラの畑で発生し、春先の段階ですでに大半の葡萄を失った農家は少なくなかった。 カリフォルニア全土で葡萄の生長は出遅れ、しかも例年より涼しい夏となっていたが、9月まではどうにか多少希望が持てるシーズンになると思われていたが、10月の始めに大型の豪雨が北カリフォルニアを長期に襲い、収穫間近の品種の多くにはカビが付き腐敗果が多く出てしまった。  (イメージ:VML Winery/Facebookより) 特に北カリフォルニアでは<10月4日>が豪雨の開始日として、この前に収穫できた畑は、そこそこ安定感があるワインを造りことができたが、これ以降の収穫した畑は腐敗果交じりでバラつきが出るワインに仕上がった認識である。通常の年であれば10月初旬ではカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルが未収穫で残るが、2011年は春先に雨が続き、夏も涼しかったため、すべての品種の成長に対して遅れが出てしまい、通常では収穫済みであったはずのピノ・ノワール種やシャルドネ種の収穫のタイミングがちょうど豪雨の時期と重なってしまった。 腐敗果は貴腐ワインを造る目的でなければ、葡萄農家泣かせの事態。表面に少しの湿気が存在するだけでカビは成長してしまい、正直、腐敗が進んでいなければ、簡単な検査では見分けることもできない。しかも、一般の収穫作業員は腐敗が明らかでなければ、仕分けることできないことから、除かれないまま醸造所に運ばれる。醸造を始める前に、最後の葡萄の仕分けの工程がある。当然、上質なワインを造るのであれば葡萄の水洗いや殺菌などはもっての外で、仕分機のコンベアベルトで流れてくる葡萄を見て・触って、取り除くしかない。十分な資金があり、仕分けの作業員を増やし、時間をかけてできるワイナリーであるのなら、腐敗果の取り除きが可能だが、中小規模で少人数で行なっているワイナリーにはどうしても欠けてしまう作業となってしまう。 (イメージ:Kanzler Vineyard/Facebookより) ワイン批評家の間で2011年ヴィンテージの特にピノ・ノワールの味わいの感想に<カビ臭い>の表現が連発されている。また、10月初旬の豪雨で腐敗果の恐れを察知し、完全に熟す前に収穫した栽培家も多くいたため、<タンニンが苦く>出てしまった感想も多くあげられている。この<カビ臭さ>と<苦いタンニン>はいくら熟成期間を経ても消すことができない要素であることは専門家の間で認識されている。修正が効かないワインに仕上げてしまったことから、2011年ヴィンテージにはワインの一生涯に残る特徴が刻まれ<苦戦のヴィンテージ>のレッテルが付いてしまうのもどこか魅力的にも感じてしまう・・・ 一方、10月の豪雨を免れたパソロブレスやサンタバーバラ産のワインには北カリフォルニアほどバラつきがない感想が出ている。ただし、春先の霜被害で多くの収穫量を奪われたことから生産者は決して喜んではいない。 また、決して2011ヴィンテージがすべて劣っていると言う意味でもなく、上質なワイン造りに取り組んでいるワイナリーはあえて腕の見せ所と感じて細かい箇所まで気を使い、バランスのいいワインを造っている。販売が開始されたばかりのヴィンテージなので、苦戦したワイナリーを紹介するより、安定感のある上質なソノマ産のピノ・ノワールをいくつかを紹介しよう。 *** ワイン・エンスージアスト誌で高い評価を獲得した2011ヴィンテージのソノマ産のピノ・ノワール:Williams Selyem、Merry Edwards、Paul Hobbs、Rochioli、Lynmar、Dutton-Goldfield、Joseph Phelps、Failla、Flowers、 Freeman、Sojourn、Siduri (イメージ:Zinfandel Chronicles、Dutton-Goldfield Winery/Facebook、William-Selyem/Facebook、Lynmar Estate/Facebookより) ワイン・スペクテーター誌で高い評価を獲得した2011ヴィンテージのソノマ産のピノ・ノワール:Aston、Kanzler、Meiomi、Reuling、Auteur、Kosta Browne、Mueller、Sonoma-Loeb、Venge、Belle Glos、Peter Michael、Patz & Hall、Saxon Brown、Robert Stemmler、VML、Walt、August West、Paul Hobbs、Lynmar (イメージ:Schrader Cellars、Kanzler Vineyard/Facebook、Gastrobits、Mueller Winery/Facebookより) … Continue reading

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アメリカ西海岸を寒波がおおう

ワシントン州のヤキマ・バレーのElephant Mountain Vineyardsで畑が今年1月に凍った様子。 (イメージ:Mr. Awesome’s Wonderful Photosより) アメリカ西海岸は寒波に見舞われており、葡萄農家は急激な温度の落ち込みで畑の状態を注目して監視している。ワシントン州、オレゴン州、そして北カリフォルニアでは15℉~3℉(-9℃~-16℃)と気温が数日続いている。 先週末にはワシントン州のワラ・ワラ産地では3℉(-16℃)そして、オレゴン州のウィラメット・バレーの一部では9℉(-12℃)を記録した。今週中には例年通りの気温に戻る見通しだが、冬の間は葡萄の木は休眠に入るが、その前に温度が下がり過ぎると<つぼみ/芽>の成長に影響を与えてしまう。 ワシントン州大学の研究で<つぼみ/芽>へのダメージは葡萄品種別で把握しており、メルロー種の場合は-5℉(-20℃)、シラー種の場合は-3.5℉(-19℃)、カベルネ・ソーヴィニヨン種の場合は-6.5℉(-21℃)などとそれぞれ異なる温度でダメージが始まる。ちなみにこれらの温度になると葡萄の木の約1割りの<つぼみ/芽>を枯らす結果となり、約1時間程度の長さでダメージが起きることもわかっている。 (イメージ:WSU Viticulture and Enology Extension/Facebookより) ワシントン州では2010年の冬に今年と似たような環境を経験したことから心配と同時に過去の対応実績を考慮し、予防対策の準備もできている。オンラインでリアルタイムでの畑の温度測定を行なうなど、畑にファン(扇風機)を設置し、少しでも温度を維持する対策なども応用している。 一方、北カリフォルニアでは実際の寒波よりも乾いた空気が前年から続いており、降雨量のほうが気になる。カリフォルニアは葡萄の木の<つぼみ/芽>が凍る心配より、水分の少なさから乾燥の心配のほうが大きい。通常は休眠に入る前に雨や水撒きで、葡萄の木に水分を与えるのがだ、あまりにも降雨量が少なく、地域全体が水不足で水撒きを自粛する動きがあったことから<つぼみ/芽>の乾燥の恐れがある。 ただし、中にはここ数日の寒波を歓迎する人もいる。ワシントン州でアイス・ワイン造りに取り組んでいるワイナリーのGard Vintnersは今年初めてピノ・グリ種でのアイス・ワイン造りに挑戦している。 GardのLawrence Vineyardからアイス・ワイン用のピノ・グリ。 (イメージ:Gård Vintners/Josh Lawrenceより) ワシントン州ではリースリング種が容易に凍らすことができることから、アイス・ワイン造りではリースリングが多く活用されるが、凍った場合、実際の糖度は、リースリングは約45 Brix、そしてピノ・グリは52 Brixまで糖度を高めることができることから、希少でリースリングに匹敵または場合には、上回る上質なアイス・ワインがピノ・グリから造ることができることもわかっている。これまでの何度かGardはピノ・グリを自然に凍らす試みを行なったが、先週末の寒波で初めて自然に凍らすことに成功した。今年収穫したピノ・グリは2015年2月頃のリリースとなる。 Gardでは年によってリースリングのアイス・ワインをリリースしている。 (イメージ:Vivinoより) (ニュース・ソース:Wines & VinesとGreat Northwest Winesより)

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フランスの<葡萄図書館>の移転問題

(イメージ:Jim’s Loireより) <ワインの本場>フランスではワインの生産に限らず、ワインの研究に関しても積極的に取り組みが行われている。ワイン研究の一環として7000種類の葡萄品種を<生きた状態>で保管・管理する畑が存在し、今回、この<葡萄図書館>と呼ばれる畑を移転する計画に対して反対の署名活動が起きている。 (イメージ:National Institute for Agronomic Researchより) 南フランスのモンペリエ地方にある国立農業研究所(INRA)の<Domaine de Vassal/ドメーヌ・デ・バサル>は1876年よりフィロキセラなどの葡萄の木を破壊する害虫病などの予防のための研究に<葡萄図書館>を設立し、現在は葡萄の木を生きた状態で7000本を保管・管理している。1949年に現在のモンペリエ市郊外のマルセイヤン市のトー湖にある27ヘクタールの畑に移転しているが、今回、再度INRAの移転計画が持ち上がっており、更に南に位置するグリュイッサン市に畑を移動する予定。 現在の畑の位置。 (イメージ:INRA Domaine de Vassalより) この計画に移転反対グループがオンラインでの署名活動を開設し、4千の署名を集めた。主に移転計画に葡萄の木が絶えられず生き延びない恐れがあることを主張している。また現在の畑での<葡萄図書館>の運営に予算が不足していて、新しい場所に強引に畑を移転させることで運営費の節約が移転の大きな理由と主張しているが、この点に関してはINRA側は海岸に近い位置にある現在の畑の周辺の水面が上昇していることから、いずれかは海に浸かってしまう恐れがあることを、移転理由の一つに説明している。 現状の畑は砂混じりで、海岸に近いことからいずれかは海に吸収されてしまう。 (イメージ:Le Dauphineより) また現在の畑の位置の広さも問題で、毎年新たに50の葡萄の木が研究所に届き、新しい畑のは170ヘクタールの広さがあり、今後も数を増やすのに最適とINRAの関係者は話している。 新しい畑のロケーションはこれまでより内陸で170ヘクタールの広さ。 (イメージ:Decanterより) 反対活動に反して今のところは計画通り、5年~7年かけて新しい畑に<葡萄図書館>は移転する予定。 (ニュース・ソース:Decanterより)

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ブルゴーニュのビオディナミ畑が害虫退治を断り罰金と禁固

白ワインと赤ワインと<エマニュエル・ジブロ>は豊富なラインアップでビオディナミ・ワインを生産している。 (イメージ:Journal d’un passionne de la rive droiteより) 漫画『夏子の酒』でも重要なテーマの一つであった害虫退治のための化学農薬使用の物議が、フランスのブルゴーニュ地方のボーヌ産地でバイオダイナミック農法(ビオディナミ)で葡萄栽培を行なっている生産者<Emmanuel Giboulot/エマニュエル・ジブロ氏>は葡萄の木にダメージを与える<Flavescence-Dorée Disease/フラベセンス=ドレー病/直訳:黄色=金色病>の対処に化学農薬を使用を断ったことから3万ユーロの罰金と6ヶ月の禁固を言い渡されたとDecanter誌で紹介された。 <フラベセンス=ドレー病>にかかってしまった葡萄の木。 (イメージ:Wikipediaより) 今回の判決はフランス政府の農林省管轄のDRAAF-SRALが下し、2011年頃からコート・ドール地方で広まっている葡萄の木の葉っぱに害虫(正式名:scaphoideus titanus)が付くようになり、葡萄の葉っぱが黄色から金色に染まる<Flavescence-Dorée Disease>が発生し、葡萄の木の成長および葡萄の実の成長に影響を与える問題が起きており、今でも続いていると言われている。この病気の対処に今年7月にDRAAF-SRALからの命令で農薬を撒く対策に対してジブロ氏は無視したことを理由に罰金と禁固の判決が下さった。 ジブロ氏の畑は1970年代から父親がオーガニック農法を行なわれてきて、その後、父親から譲り受けた畑はビオディナミ農法を取り入れ無農薬の葡萄栽培を継続してきた。 コート・ドールAOCの代表を務めるジャン=ミシェル・アビナル氏は<Flavescence-Dorée Disease>には緊急性で対処する必要があり、病原の研究は対処方法と同時に行なう必要があり、中には葡萄の木を完全に抜く対策も取ってきたと説明している。 一方で、ジブロ氏はまだ完全に病原を対処するか証明されていない化学農薬を撒くことに対しては強い抵抗を感じているとコメントを残している。実際にオーストリアなど他国では化学農薬ではなく、丁寧に葉っぱを熱湯で対処することで<Flavescence-Dorée Disease>を対処した実績があり、逆に化学農薬を撒く価値はないことも発言を残している関係者もいる。 害虫被害は葡萄栽培ではつき物で、有機栽培やバイオダイナミック農法に取り組んできる農家は化学薬品を使用しないことから、特に害虫発生には敏感に取り組んでいるはず。害虫拡大をコントロールすることは産地全体(農薬使用・無農薬問わず)の大きな関心事で、広がってしまったものに対しては化学農薬を使用しないのであれば、最悪の場合、木を抜くなどの対応方法を取るしかない。近所の畑に迷惑をかけないことが大前提だが、他の化学薬品を活用しない対象法が存在し、それを対処法として試す前に罰金や罰則を下すのはかなり厳しいような気がする・・・ 今回の判決は不服としてジブロ氏は抗議を行なうことが予測される。 この<La Combe d’Ève>は国内でも探せば購入できるワイン、要チェックのワインの一つです。 (イメージ:Vinloyalより) (ニュース・ソース:Decanterより)

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<テロワール>を真菌や細菌で区別する新たな発見

ワインの解明に大きく貢献している研修機関であるUC大学デイヴィス校が葡萄とテロワールまつわる新たな発見を行い、先日そのレポート内容をProceedings of the National Academy of Sciences(米国科学アカデミー紀要)誌で公表した。 <テロワール>はワイン関係者の間では普通に使用される言葉で、葡萄畑の土壌、水、気候の特徴や独自の環境が葡萄とワイン造りに影響を与えているコンセプトとして共通認識がされているが、この度、UC大学デイヴィス校のワイン専門学部の研究により、葡萄の果皮に付着する真菌(fungi)と細菌(bacteria)が葡萄が栽培される環境に影響されることが科学的に証明することができ、これまで<テロワール>のくくりで産地の違いなどを表していたコンセプトが、科学的に<テロワール>の違いを証明できるようになった。 研究はカリフォルニア州全土を対象に行なわれ、複数のヴィンヤードの協力を得て2年のヴィンテージを渡り葡萄のサンプル273個が集められた。集めた葡萄は分析を行なうためにすぐさま研究室で冷凍保存された。研究はDNA解析で利用するツールで行なわれ、葡萄に付着した真菌や細菌をマスト(果汁、果皮、種を含む)の状態で分析を行なった結果、栽培地域により果皮に付着した真菌と細菌の種類と量の違いが明らかに出ていることがわかった。品種別で見ても真菌が多く付着するものもあれば、細菌が多く付着した品種が存在することがわかった。 このほかにカリフォルニア全土(北から南へ)の気候や立地の違いを考慮し、真菌と細菌の付着量にパターンが明らかになった。今後は真菌と細菌を分析し、どの地域にどの品種が、どのような味わいの特徴を出せるのかなど、科学的な要素を取り入れて更に最適な栽培環境を築き上げることができることを期待している。 今回のUC大学デイヴィス校の研究はワイン会社の大手コンステレーション社や最新のワイン醸造技術を開発するMircoTrek社など協力のもとで行なわれており、American Wine Society Educational Foundation Endowment Fund(米国ワイン文化の教育ファンド)、American Society of Brewing Chemists Foundation(米国の醸造者協会)、そしてワイン・スペクテーター誌からの協賛で実現している。 (ニュース・ソース:UC Davisより)

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バランスがとれた低アルコールのカリフォルニア・ワイン

(イメージ:Napa Valley Grapegrowersより) ナパで開催される注目イベントに成りつつある<Napa Valley Grapegrowers/ナパ・バレー・グレープグロワーズ(葡萄栽培家)>主催の<WINE + GRAPE EXPO>が11月14日に今年も実施された。このイベントはナパ・バレーで葡萄農家およびワイン生産者たちが栽培から醸造まで技術や傾向を共有する教育重視のイベントで特にナパ発の最新のワインに関するトレンドや今後の傾向を予測するのに役立つイベントとして注目されている。 今年は一般参加も可能な<バランスのとれた低アルコール度数のワイン>に関するセミナーが注目が集中した。このセミナーのパネリストには<Ridge Vineyards/リッジ・ヴィンヤード>のポール・ドレーパー氏、<Screaming Eagle/スクリーミング・イーグル>のニック・ギスラソン氏、<Arnot-Roberts/アーノット・ロバーツ>のダンカン・アーノット・マイヤー氏、SFクロニクル紙ワイン・ライターのジョン・ボネ氏、パネリストおよび司会進行は<Matthiasson/マサイアソン>のスティーブ・マサイアソン氏と豪華な面々がそろった。 左に今回のセミナーの司会進行とパネリストを勤めたS・マサイアソン氏。 (イメージ:Napa Valley Grapegrowers/Facebookより) 主にここ20年ナパや北カリフォルニアで続けられていた<パワフル>で<フルーツの熟成度>を最大に活かしたワインがカリフォルニア・スタイルとして支流として造られていた。パネリストたちによるとこの要因は大きくナパ産地を担当していた<2人のワイン批評家>の影響が大きかったと振り返った。 46年前にリッジでワイン造りを始めたドレーパー氏は当初は30年代に造られたInglenookやLa Questaのスタイルや40年代のボルドー産のワインなどがワイン造りの教科書の手本となっており、これらのワインは今ではカリフォルニアでは珍しいくらいの12.5%以下のアルコール度数のワイン造りを目指していた。 ドレーパー氏が造ったリッジの<1971 Monte Bello Cabernet>は1976年のパリ・テースティングで5位に入賞し、2006年に開催された<パリ・テースティング30周年記念>の再現テースティング会では1位を獲得し、当時の彼が活用していたワイン造りの手法は決して劣っていなかったことを証明した。 1976年のパリ・テースティングで5位に入賞したリッジ・ワイン。 (イメージ:Wikipediaより) 一方、若手醸造家たちのアーノット・マイヤー氏やギスラソン氏は修行時代にすでに15.5%のアルコール度数が支流になっており、そのスタイルが当たり前と考えていた。アーノット・マイヤー氏の場合、独立してから様々な葡萄産地の研究、天候の影響で葡萄の熟成値が上がらない場合の対処方法、そして、あるニューヨークのワイン・バイヤーの強い要望で顧客からもっとバランスの取れた、低アルコールのカリフォルニア・ワインはないのかのリクエストに応えることが、スタイル変更の大きな要素になったと説明している。 アーノット・ロバーツのシラーはカリフォルニアでは非常に珍しく11.9%のアルコール度数。 (イメージ:solosyrahより) また、ギスラソン氏の場合はスクリーミング・イーグルのスタイルを継承する必要があり。実際に過去のヴィンテージを調べていたところ1990年代初期には13%のアルコールのワインも存在しており、よりまろやかに仕上がっていたスタイルのワインであった。現在は熟成や収穫の判断は数値よりも、葡萄の味わいを優先して収穫時期を決めていると公表した。 2011年に20代の若さでスクリーミング・イーグルのワインメーカーに抜擢されたN・ギスラソン氏。 (イメージ:Wine Enthusiastより) アルコールを抑える最大の要因は葡萄畑での取り組みが大きく影響し、自身のワイナリー以外にも葡萄畑管理を専門とするマサイアソン氏は台木選びから始まると説明した。葡萄の熟成スピードを抑え、房の数も抑えることができる<St. George/セント・ジョージ>などの使用を薦める。また、葡萄の木の植え並び方法にも工夫すれば、早く熟成せずに必要な糖度を得られるバランスの取れた葡萄が栽培することが可能と説明。より多くのカバー・クロップの使用と耕作を減らすことで自然環境にもプラスをもたらす手法があると加えた。 最後はワイン・ライターのボネ氏がワイン業界で起きている変化のスピードは変わってきたと忠告を促した。これからのワイン需要を左右するのが<ミレニアル世代>で、これらのワイン愛好家は親が楽しんでいたワイン(特にパーカー・スタイル)は極力避けるようになり、自分たちのスタイルのワインを求める傾向があると説明。これまでの愛好家よりも知識が豊富だが、当然、高額のワインを入手することができないため、バランスや様々な料理とのペアリングなどに重点したワインへの需要がこれまでにないスピードで変化していると説明。 パネリストたち全員は需要の変化に対する対応方法の鍵が過去の<伝統的なワイン造り>にヒントがあると意見が一致する。カリフォルニアにも多くの伝統的な葡萄・ワイン造りの手法が存在することから、最新の技術だげでなく、過去の取り組みも再度研究し直して業界全体に役立つ手法や習慣を共有することが必要と考えている。 (ニュース・ソース:Wine Business.comより)

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サステイナビリティ認定ワイン

(イメージ:SIP Certifiedより) オーガニック農法やバイオダイナミック農法の認定のほかに今カリフォルニアではSIP Certified認定(Sustainability in Practice/サステイナビリティ・イン・プラクティス)がワイン業界に取り入れられており、SIPのマークが入ったワインが少しづつだが増えている。 1996年頃に始まり、2008年に正式に認定組織として活動を続けているSIPは農作物に対してオーガニックとバイオダイナミックと似た認定項目が存在するのと、追加で畑を含む自然環境に対する保護活動に対して認定項目を含んで農家を認定する組織である。また自然環境以外にも使用エネルギー、水、害虫対策、土壌、経済、人間に対する保護や長期的な持続性を意識した活動や対策が求められる。経済や人的要素は適切な給与、健康保険制度、トレーニングや教育なども認定項目に含まれる。 (イメージ:SIP Certifiedより) 現在、カリフォルニアには165ヶ所のヴィンヤード(畑)がSIPの認定を受けている。組織がパソロブレス産地を中心に活動しているため、サン・ルイス・オビスポ(56ヶ所)、モントレー(41ヶ所)、ソノマ(30ヶ所)、サンタバーバラ(21ヶ所)、ナパ(10ヶ所)、メンドシーノ(4ヶ所)レイク・カウンティ(3ヶ所)とセントラル・コースト中心に多くの畑が存在する。認定を受けているヴィンヤードのうちワイン造りも行なっているのは25ヶ所のワイナリー。その他は葡萄を様々なワイナリーを供給している。 (イメージ:SIP Certifiedより) 将来的にはカリフォルニア以外そして海外のヴィンヤードにも認定普及を目指している。スタート当初は12ヶ所の畑で3400エーカーから始まり、現在は3万エーカー分の畑に約100万本ワインに対してSIP認定を受けている。 (イメージ:SIP Certifiedより) (ニュース・ソース:KCETより)

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