Tag Archives: ワイン事件

偽造ワイン事件の裁判結果

ここ数週間、ワイン関連のニュースは大量の偽ワインをオークションなどを通じて販売したルディ・クルニアワン(Rudy Kurniawan)被告人の裁判で一色だった。ニューヨーク州のマンハッタンで開催された裁判だったの一般のニュースを含めて多くのニュース・アウトレットは報道されることからこのブログでの紹介をあえて控えていたが、今週の水曜に裁判の判決が下され、予想通りの結果がでたことから、この事件の幕がおりることとなった。 (イメージ:Los Angeles Times/Ricardo DeAratanhaより) 12月9日に開始した連邦裁判所は18日にクルニアワン被告人が偽造ワインの販売と金融機関への詐欺の罪で有罪の判決で20年の禁固と罰金で終了した。実は<偽ワインの販売>に関してアメリカでは初の有罪の判決であったことが歴史に残る事件と判決となった。 インドネシア出身で37歳のクルニアワン被告人は2002年頃にロサンゼルスの高級ワインの試飲会や食事会に度々現れるようになり、自ら集めたブルゴーニュやボルドーからのレア・ワインを会に持参し、特にロマネ・コンテに対しては<利き酒>ができるほどの舌の持ち主だったことから<ミスター・コンティ>のあだ名が付くほどワイン界で知名度を上げていった。レア・ワインを専門に扱うニューヨークのアッカー・メラル&コンディット社などを通じて自ら収集してきた高級ワインをオークションに出品するようになり、2002年~2007年の間をピークに2006年だけでも約35億円相当のワインをオークションで販売した。 (イメージ:Xuniteより) レア・ワインのオークション市場全体で約300億円市場まで成長する中、2008年に出品したブルゴーニュの<Domaine Ponsot/ドメーヌ・ポンソ>の<Clos St. Denis/クロ・サン・ドニ>1945年ヴィンテージがワイン・コレクターの目に止まり、コレクターがポンソに問い合わせたところコレクションに含まれていた1945年~1971年ヴィンテージはドメーヌは活動していたが、<クロ・サン・ドニ>は80年代から始めたシリーズだったので、ヴィンテージも当然ありえなかった。オークション・ハウスやワイン・ディーラーはクルニアワン被告人が取り扱うワインをオークションから取り除く動きが始まり、いくつかの言い分を重ねワイン収集を続けてワイン・ディーラーに販売を続けていたが、2012年にクルニアワン被告人から譲り受けたワインがロンドンのオークションで偽物と判明したことをきっかけにFBI捜査局がクルニアワン被告人のロスの自宅の家宅捜査を行い、無数の偽のワイン・ラベル、空のワイン瓶など押収し<偽ワイン造りのラボラトリー>であることが判明し、逮捕とつながった。 (イメージ:Friend Eatより) 今回の裁判ではドメーヌ・ポンソのローラン・ポンソ氏やクルニアワン被告人が出品したワイン219本(約2億円)をオークションで購入した億万長者のビル・コッチ氏などが証言を行なった。関係者の証言、押収した証拠品などを考慮し有罪は免れないほどの裁判で、司法取引を行なわなかったことが不思議に感じる人は少なくなかった。 今回の裁判で最も興味深かったのが、クルニアワン被告人がどのように偽ワイン造りを行なったのかが明らかになったこと。 まず、レア・ワインが飲まれる試飲会や食事会で使用済みのワイン・ボトルを収集したいた話は昨年のエスクァイア誌の特集記事でも紹介された話しだが、実際に中身の造り方または本物に近づけさせるための方程式などが今回の裁判で明らかになった。 (イメージ:Wine Spectatorより) レアで古いワインには独特な青臭い香りが付く。中には乾燥ハーブや缶詰のアスパラガスのような特徴で表現されるが、古ければ古いほどこの香りを避けることはできず、当然、クルニアワン被告人もこれを理解していたため、1本約60ドル程度の価格で販売されている古い(1970年代頃)需要がないワインをヨーロッパから大量に買い集めていた。押収された証拠品の中にはイギリスのワイン・ディーラーに904本このようなワインを購入したインボイスが残っている。これらのワインをカリフォルニア産の早飲みの若いワインとブレンドして偽ワインを造りを行なった。 またフランスの<良いヴィンテージ>は夏が温かく、熟成度が高めの年のワインをさすことが多く、この特徴を活かし、カリフォルニアでも熟成度が高めのワインを偽ワイン造りに買い集めたことがわかった。 時には上質な偽ワインを造るためには投資も必要で、押収品の中には1本200ドルするMarcassinが存在し、偽のレアなブルゴーニュ造りに活用されたことも明らかになった。 (イメージ:California Wine Reportより) 最後に、できるだけ本物と一緒にセットを組みオークションに偽ワインを出品することも心がけたようで、言い逃れができるような状況を作っていたことが明らかになった。 クルニアワン被告人を弁護したジェロム・ムーニー氏は高級ワインを楽しむハイ・ソサエティに強く憧れ、このグループの一員になるためにエネルギーを費やしたと説明。また、ハイソについていくためにスポーツカーや腕時計の高級品を入手が派手になり、この生活を維持するために偽ワイン造りが盛んになったと説明している。 金融機関のへの詐欺行為はローン申請に入国状況に関して偽りの内容を行なったことで罪に問われ、2003年に長期滞在の申請を行なったが、申請が却下されてアメリカからの退去を命じられていたことを隠していた。 今回の判決に対して上訴することを予想されるが、判決が覆される可能性は非常に低い。 (ニュース・ソース:NPR、Los Angeles Times、Wine Spectatorより)

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ワイン・ニュースのまとめ

いくつかワイン関連の事件やもめごとに関する続報を・・・ はじめは先週お伝えしたワシントン州シアトルのワインショップ兼ワイン倉庫の盗難事件の続報。まず、事件を起こした2人組みの容疑者は逮捕され、盗まれたワインも発見されたとシアトル警察の発表で明らかになった。 (イメージ:Seattle Police Departmentより) ワインは1キロも離れていない別の温度管理がされた倉庫内で発見され、現在は盗まれたワインと見つかったワインの照合を行なっている。また、今回の犯行は今年初めにサンフランシスコで起きたワイン盗難事件と犯行が似ているため、同一グループの犯行として捜査がはじまった。 2人組みの犯人の一人が逮捕された際にサンフランシスコを拠点にワイン・ディーラーを営んでいる人物とワイン販売の商談やり取りが発見され、このディーラーは今回の商談ワインの価格があまりにも安かったためワインに関して疑問を抱き商談を断ったが、今年春先に同じ人物から10万ドル(1000万円)相当のワインを購入したとを明らかにし、これらのワインはサンフランシスコのFine Wines International社から奪われたワインではないかとの可能性が高まった。 (イメージ:Fine Wines International/Facebookより) (ニュース・ソース:SF Chronicleより) *** (イメージ:Artesa Vineyards & Winery/Facebookより) 昨年の6月に紹介したスペインのカヴァで有名なコドルニュー・グループ社(Grupo Codorniu) がナパで運営しているワイナリー<Artesa Vineyards & Winery/アルテサ>がソノマ郡のソノマ・コーストの300エーカーの約150エーカーの土地を葡萄畑に改造する計画でレッドウッド(アメリカ杉)やもみの木などを伐採する計画に地元の自然保護団体が改造差押さえの申し出を裁判所に提出し、今月のはじめに裁判所は伐採はカリフォルニア州の環境保護法に準じていないことから一旦は州が許可した改造工事の認可を取り下げる判断を行なった。 そもそも、りんご園が存在した農業用の土地でアメリカ杉やもみの木なども保護法の対象とならない比較的に新しい木であることも主張したが、裁判所から工事許可を得ることはできなかった。とりあえず、葡萄畑の改造工事は一旦白紙になったことで、今回は環境保護団体に軍配が上がったが、アルテサ側も更に計画を練って再度工事許可を求めに行く方針である。 (イメージ:Artesa Vineyards & Winery/Facebookより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより) *** (イメージ:Paul Hobbs Wines/Facebookより) 最後は先月紹介したPaul Hobbs Wineryがソノマの学校の近くで葡萄畑を開業するニュースのつづき。前回までの話では、学校を利用する子供たちの親が中心となって結成した畑反対派のグループが裁判所に提出した抗議に対して今度はPaul Hobbs側が反対グループに訴えは妨害行為で違法性があるとの訴えを裁判所に行なった。 … Continue reading

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最近の偽造ワイン事情に関して

偽物のファイン・ワイン(高額で取り引きされるワイン)に関する記事がいくつか掲載された。 (イメージ:HKTDC Lifestyle Channelより) まずは香港で開催されている国際ワイン&スピリッツ・フェアでサンフランシスコを拠点に活動している、偽ワインを専門に調査する組織チャイ・コンサルティング社の責任者のモリーン・ダウニー氏がセミナーで最新の偽ワイン事情を共有した。市場に出回っているファイン・ワインの約2割が偽ワインと推測されているが、ダウニー氏はこの数字の正確性は断定できないが、確実にアジア市場に偽ワインが増えていることを忠告をした。 2000年頃から本格的に偽ワインの追跡や製造している組織の解明などが始まり、これまではヨーロッパやアメリカで表面化することが多かったが、最近はヨーロッパやアメリカでの取締りが厳しくなり、まだ未開拓のアジア市場に偽ワインが出回る傾向にシフトした。偽ファイン・ワインは主に個人ワイン・トレーダーが出先となっている。これまではこれらのワイン・ディーラーはオークション・ハウスに偽ワインを出展し、市場に流れていくパターンがあった。今は大手オークション・ハウスは調査や審査を厳しくしていることから、オークションを通じて市場に出る可能性は大幅に減少した。ディーラーはオークション・ハウスを避け、直接購入をできるバイヤーを探すようになる、現在、多くのバイヤーが中国・香港に集中していることが現状。 ファイン・ワインの需要が増え、本物か偽物かを区別する知識がそれほどない中国人のワイン・コレクターが現在、偽ワイン・ディーラーのターゲットになっている。また、これらのワイン・コレクターはワインが偽物と判断されても、恥じや顔をつぶされたと感じ、公表しないケースが多い。ダウニー氏はこれらのコレクターは偽ワインで騙されたら、必ず警察や調査組織に報告することを促している。 上海で中国警察が押収した偽ワインを処分する様子。 (イメージ:Xinhuanetより) (ニュース・ソース:The Drink Businessより) *** Decanter誌ではファイン・ワインの偽エチケット(ワイン・ラベル)を購入し、それをインターネットのebayサイトを通じて転売した事件を起こした人物が4ヶ月の禁固を受けたニュースを紹介した。このニュースは2010年に事件が判明した際に注目を集めたニュースの一つで、簡単にebayなどのサイトを利用してフリーマーケット感覚で偽ラベルなどが取り引きされるのは危険と特に高級ワインの生産者が多く存在するボルドーAOCなどがサイト運営会社に警告を行なった。今でも有名ワインのボトルやラベルは普通に取り引きされているが、ebayなどはVerified Rights Owner Progam(VeRO)の制度を導入し、サイトへの出展者が出展商品の商標の権利が犯していないか、確認するシステムを導入していると説明。ebay側は偽物商品がサイトを通じて売買されないことをチェック機能もさんらに強化しているとも説明。 ebayで売買されているワイン・ラベル。 (イメージ:ebayより) (ニュース・ソース:Decanterより) *** (イメージ:Brentapackより) 最後は偽ワイン防止策の新しい技術が紹介された。イタリアのBrentapack社ではワインの栓に利用する天然コルクに着目し、同じ天然コルクは2つ存在しないことから、コルク一つ一つの模様や特徴を人間の<指紋>のように情報を写真で保管し、区別そして判断することが可能となる。また、それぞれのコルクには番号が印字され、簡単にスマートフォンのアプリで追跡できる機能も加えている。ゆくゆくはGPSチップもコルクに埋め込み、どのワインがいつ開栓されたのかがモニターできるようなサービスも提供すると説明している。本物か偽物かを判断する必要があれば、実際に栓を脱がずに、すべてのコルクのデータを保管している研究所で判断できると保証している。通常の天然コルクより1割程度の高い値段で提供。年間で5千万本のコルクを生産する予定で主に偽造ワイン防止に力を入れている生産者が使用予定。 (ニュース・ソース:WineSearcher.comより)

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<ソルデラ>で不法侵入・破壊被害

(イメージ:Wineanorakより) イタリアのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ産地の<カーゼ・バッセ>に考えられない事件が起きた。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(トスカーナ地方)の最高級のワイナリーに12月2日(日)の深夜に何者かが忍び込み、熟成中の2007-2008-2009-2010-2011-2012のヴィンテージが入った大型樽のバルブを開けたまま、その場を去り、約62,600リッター分のワインが流れ出てして失われたと衝撃的なニュースが飛び込んできた。ワインメーカーのジャンフランコ・ソルデラ氏か4日にプレスリリースを発表し、ニュース内容を確認すると共に地元警察に捜査依頼を申し立てていることを明らかにした。 カーゼ・バッセを代表する<ソルデラ>ワインは1万8千円~2万円程度で取引されており、今回の事件で84,000本分を失ったこととなる。ワインには保険が掛けられており、人的な被害がなかったことでソルデラ氏は冷静に対応していると報告が入っているが、その他ワイナリー関係者やインポーター・バイヤーなどは大きなショックをツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディアを通じて表している。 伝統的な大型樽の前に立つジャンフランコ・ソルデラ氏。 (イメージ:CasseBasseより) ソルデラ氏はブルネッロ・ディ・モンタルチーノの中も伝統的なワイン醸造技法を守ることで有名で、時には近道を選ぶワイナリーや伝統的な葡萄品種などから逸脱するワイナリーを批判することでも知られている。くしくもブルネッロ・ディ・モンタルチーノの伝統である大型の熟成樽で最低2年間熟成する技法が被害の対象となったことが本当に気の毒・・・中には過去にイタリアでは似たような被害合ったワイナリーが存在し、その時は裏組織が関わっていたと考えられていたので、今回の事件も何らかの裏組織が関わっていないか現地では噂されている・・・ (ニュース・ソース:Dr.VinoとNewYorkTimesより)

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大変ですっ!ワインの盗難事件発生です!

マフィア映画のあらずじを読んでいるようなワイン事件が起きた。シガコの有名レストラン(2010年にはミシュランの2ツ星を獲得)『チャーリー・トロッター』がワインの盗難被害にあった。 オーナー・シェフのチャリー・トロッター氏 (イメージ: CharlieTrottersより) 話は一週間前に逆上る、『チャーリー・トロッター』のオーナー/シェフのチャーリー・トロッター氏が総額で1億円のワイン・コレクションをニューヨークの<クリスティーズ>でオークションに出展するニュースが出回った。4,000本を越すコレクションには特にマグナムやジェロボアムなどの大型ボトルサイズが多く含まれており、<クリュッグ>と<ドン・ペリニヨン>のマグナム、<シャトー・オー・ブリオン ブラン ’94>のダブル・マグナム(4本分)、<シャトー・ラトゥール>と<シャトー・ラフィット・ロートシルト>そして<シャトー・ムートン・ロートシルト>のアンペリアル(8本分)、<シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン>と<シャトー・ランシュ・バージュ>のネブカドネザール(20本分または15リッター)などと有名どころのワインが目白押し。今月の16日にオークションがニューヨークで開催されると告知された。 ネブカドネザール・サイズのボトル (イメージ:Z&BVintnersより)  そして、昨日、驚くニュースが飛び込んできた。なんと『チャーリー・トロッター』があるシカゴからオークション・ハウスのあるニューヨークへトラック運搬中に貨物の内の1パレット分のワイン(60ケース/720本)が丸々無くなっていると受取人のクリスティーズから連絡を受ける。パレットの中身の詳細は公表されていないが、中には高級ボルドーやブルゴーニュ産のワインが含まれていることはわかっている。貨物には保険が掛けられており、トロッター氏によるとワインの運搬責任はクリスティーズ側にあると主張している。クリスティーズ側は「現段階ではコメントは出来ない」とのコメントを出しており。消えたワインに関して追跡調査を開始している。 このニュースを読んで、真っ先に頭を過ぎったのがデ・ニーロ、ジョー・ペシ、レイ・リオッタ主演の映画『グッドフェローズ』で再現した<ルフトハンザ強盗※>のシーン。実際の強盗シーンと言うより、強盗の計画やその後行動などが印象的で、今回の事件もどういう事前計画やその後どのようにワインをさばくのかが気になる・・・ 映画『グッドフェローズ』からのワン・シーン (イメージ:Movpinsより) 貨物が無くなることはおそらく頻繁に起きていることで、保険会社や捜査当局などもしょっちゅう処理に追われていると思うが、今回の事件は登場人物(有名レストランのオーナー・シェフと有名オークション・ハウス、そして消えたフランス・ワイン)も映画のストーリーにするに非常に魅力を感じてしまっている・・・今後もこのニュースは確実に追って行きます。 ※1978年にニューヨークのJFK空港で起きたアメリカ最大規模の貨物強盗事件。 (ニュースソース:ReutersとEaterより)

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