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ワイン・ニュースのまとめ

先週のワイン関連のニュースをいくつか。 先週はカリフォルニアでの長期に続く<干ばつ状態>に対してブラウン州知事が「緊急事態宣言」を行なったことで一般市民や農業に与える影響に関連するニュースが多く紹介された。特にカリフォルニアの農業に関して水不足で様々な問題や困難をこの先、覚悟しなければことに関するニュースが多く取り上げられているのだが、その中でナパからは比較的に楽観的な感覚のニュースが届いた。 ナパがカリフォルニアのワイン産地の代表格で、上質なワインを生産する産地であるからこそ、多くの畑所有者は潤沢な資金を活用し、今回のような事態に備え様々な対策をとっている。例えば、ナパ・バレーの谷底に位置する畑の多くには地下水システムを導入している。 トレフェセン・ファミリー・ヴィンヤードでは地面に無数のパイプ(上部に無数の穴が開いてある)が張り巡らせており、葡萄の木に吸収されない雨水などはパイプの穴を通じて、敷地内の人工貯水湖に集められる。春先に起きる霜被害など灌漑が必要な場合、貯水湖の水を活用し対処する。このように<リサイクル型>の地下水システムを活用しているナパの谷底畑は多く存在する。 また、地下水システムと平行に有機堆肥をふんだんに葡萄の木の周りに撒き散らし、水分の吸収力と吸引力を高める工夫を行なう。潤沢な資金がある畑のほど多くの堆肥を購入することができ、畑作業員を雇い、手間がかかる作業を実施することが可能となる。 ナパで人工貯水湖を活用している畑。 (イメージ:Stanford Universityより) もう一つ、ナパとその他のバルク・ワイン用の葡萄栽培を行なっている産地との大きな違いは、ナパでは単純に大量の葡萄を栽培すのが目的でなく、味わい深い熟成が完璧な状態の葡萄を造ることであって、雨もこのような葡萄を造るのに一つの要素だが、重大な要素でもない。 気温が高い年のほうが、出来栄えがよい条件の年となり、寧ろ歓迎される。過去に1978年と1979年でもカリフォルニアで<干ばつ>の関係で緊急事態宣言がされたが、78年と79年は共に<いいヴィンテージ>の評価が残っている。全体でよい葡萄を栽培するには頻繁に間引きを行ない、摘むタイミングを判断する。特にここ2年続けて豊作であったため、間引きで収穫量を少し落とすことに抵抗感を持つ生産者はいない。 一方、セントラル・バレーなど大量の葡萄栽培を行なう産地では、質よりも総生産量で<よい年>や<ダメな年>と判断することから、少しでもコストをかけずに高い栽培量を維持する栽培方法があれば、その方法が採用される。安定的に栽培量を維持するためには灌漑は最適で、これができなくなると死活問題となる。 ワイン産業よりも長期的な<干ばつ>で大きく影響される産業は存在し、その点では幸運とも言えるが、一般的にはワイン産業=農業、農業=大量の水を使用との印象が強いため住民などからの苦情や不満が出る。現在、パソロブレスAVAでは点で大きな議論が起きており、近日中にこちらのニュースも紹介させていただきたいと思っています。 (ニュース・ソース:Wine-searcher.comより) *** 例年のマスタードの花が開花する様子。 (イメージ:Napa Valley Register/J.L. Sousaより) 葡萄栽培に関しては今回の<干ばつ>ではまだナパでは大きな目に見えた変化はまだ感じられないが、冬の間の風物詩であるマスタードの花は今年はお目にかからないこととなった。 ナパでは冬の間、葡萄の木が冬眠状態に入り、土壌の侵食作用防止や栄養補給を目的に<Cover Crop/カバー・クロップ>が活用され、多くの畑はマスタードを植える。 ナパの冬の風景は一面真黄色の畑は、一年でもっとも絵になる風景であるとも言えるが、<干ばつ>の影響で多くのマスタードの苗が枯れてしまい、1月に黄色の花をつける畑はほとんどないと地元紙が紹介している。 今年の冬の畑の様子。 (イメージ:Napa Valley Register/J.L. Sousaより) (ニュース・ソース:Napa Valley Registerより) *** (イメージ:Vintageより) 最後はナパ・バレーの舞台裏を紹介するドキュメンタリー・テレビ番組がPBS系列の局で全国放映される。全6話(各30分)のシリーズは2012年のヴィンテージで収穫時から3人のワインメーカーの様子を追う内容。3人のワインメーカーはすべて女性醸造家で、<Markham Vineyard/マルクハム>、<Rutherford Hill/ラザフォード・ヒル>、<Chimney Rock/チムニー・ロック>でそれぞれ活躍する。 今回、ドキュメンタリー番組の主人公となる3人のワインメーカー。 (イメージ:Vintageより) 予告編を見るとどちらかとリアリティー番組系よりも真面目なドキュメンタリーに近い感じがする。ただし、番組の紹介ページを読むと、故里に戻る人がいれば、身内に突然の悲しいニュースが飛び込んで来るなどと人間模様でドラマチックな展開もあるよう。一方で2012年は実際にカリフォルニアにとって久しぶりに豊作だったため、収穫のタイミングや醸造工程を維持する難しさなどがそれぞれのワイナリーで異なった状況を紹介しているよう。 … Continue reading

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ソノマに街中テースティング・ルームの増加で物議が・・・

ソノマ郡には約250のワイナリーが存在し、ナパに続いて第2位の生産者の数だが、最近のソノマの傾向として醸造施設があるワイナリーに隣接したテースティング・ルームだけでなく、ソノマの複数の市内に街中の店舗形態で運営されるテースティング・ルームが増加している。 ソノマ郡にはソノマ市、サンタ・ローサ市、ヒーズバーグ市、ペタルマ市、セバストポ-ル市などと人口と商業および小売店が多く存在する街があり、それぞれの市内に20~25件のテースティング・ルームが営業している。 ソノマ市のSonoma Plazaには24軒のワイナリーの街中テースティング・ルームが存在する。 (イメージ:The Press Democrat/Christopher Chungより) (イメージ:Sonoma Valley Visitor Bureauより) テースティング・ルームが存在することで街中にも観光客が集まり地域への経済効果をもたらすが、地元住民としてみれば生活拠点に人が増えてしまい、交通渋滞や多くの人は飲酒していることから騒音などのマナーの低下が問題になっている。実は昨年もソノマ郡の市議会で議論になったのが宿・ホテルの規模(部屋の数)を制限する法案が議論されたが、結果的には法案は却下されたが、本来は観光客の誘致に積極的に活動するところだが、ここ数年、ワイン・カントリーへ訪れず人が急激に増え、地元住民の反動も出始めている傾向がソノマに存在する。 また、街中テースティング・ルームの運営スタイルが変化していることも問題になっている。これまでは試飲が目的で、気に入ったワインがあれば、そこで購入できることがビジネス形態だったが、今はソファやパティオ家具セットを設置し、長時間ワインバー感覚でテースティング・ルームを利用してもらうスタイルが増えている。街中テースティング・ルームはワイナリーの延長で開業するのに免許が必要ないが、食事や自社が造ったワイン以外は提供することが出来ない。もし、食事やその他の飲み物を提供するのであれば、飲食店の免許を取得する必要があるが、現状では街中テースティング・ルームは試飲室よりも<ラウンジ感覚>で運営するようになったワイナリーが増え、地元住民は交通量の増加や騒音などで迷惑を受けていると主張。 ヒーズバーグ市のダウンタウンには数多くの街中テースティング・ルームが存在する。 (イメージ:Wine Country Journeysより) ナパ・バレーと異なって、ソノマ郡が転々と産地が広がっており、ナパのようにワイナリー訪問やテースティングが一つの大通り沿い(ハイウェイ29号やシルバーラド・トレイル)に複数の産地が並んでいない。ロシアン・リバーとドライ・クリークは隣接している以外、ハイウェイ101(高速)を利用して移動するしかない。ある意味では飲酒運転などの件数を減らすのであれば街中テースティング・ルームは安全面でも歓迎すべきなのだが、今一つ地元住民は喜べないようだ・・・ ヒーズバーグのStark Wineの街中テースティング・ルームの様子。 (イメージ:Inside Scoop SFより) テースティング・ルームの運営規則を設けるのか、または街中テースティング・ルームの数を制限するのか、住民が納得させるのにソノマの市議会で宿・ホテルの運営規制が協議されたように話し合われることが予測される。 今回、この問題を紹介したPress Democrat紙の見出しは『ソノマのアイデンティティ・クライシス(本性の問題)』と書かれており、ワイン・カントリーとして観光客を誘致し、地域社会の経済を成長させるのか、それとも、現状維持を重視し、静かな農業の田舎のイメージを継続するのかが『ソノマの本性』がなんなのかが問われている。 (ニュース・ソース:The Press Democratより)

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SFクロニクルが選ぶ2013年ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー

年明け早々の恒例となったサンフランシスコ・クロニクル紙が選ぶ<ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー>にナパで活動する<Matthiasson Wines/マサイアソン・ワイン>のスティーブ・マサイアソン氏が選ばれた。  (イメージ:Winemakers Recomnendより) このブログでも度々紹介させていただいているマサイアソンはナパの生産者でありながら、パワフルで、高い熟成度のフルーティなスタイルのカベルネなどのワインとはかけ離れた抑え目で、また、カリフォルニアでは馴染みが浅い葡萄品種でのワイン造りを行なっている<自然派>生産者の一つである。特にこのブログでは北イタリアのフリウリ地方で人気の白ワイン用の葡萄をカリフォルニアに持ち込んで自ら栽培および醸造を行なっている内容などを紹介させていただいた。 そもそもマサイアソン氏は醸造家よりも栽培専門家として活動期間が長い。ナパの有名ワイナリー(スタッグス・リープ・ワイン・セラー、アラウホ・エステート、スポッツウッド、ホールなど)で畑管理コンサルタントとして、現在でもメインの職業としている。ナパでは当たり前となった超熟成スタイルのワインとは異なったスタイルのワイン、アルコール度数を控え目で味わい深いワイン造りを行ないたいワイナリーは、マサイアソン氏に相談すればいいと評判を得る。特にマサイアソン氏の場合、有機農法などの自然派の考え方をベースに近代技術や農業研究を理解する中で、顧客が求めている結果を提供することで実績と好評を積み上げていった。 栽培コンサルタントとして依頼が増える中、2002年にナパ移り住み、自宅周辺の約5エーカーの土地にカリフォルニアでは馴染みの薄い葡萄品種(Ribolla Gialla/リボッラ・ジャッラ、Tocai Friulano/トカイ・フリウラーノ、Refosco/レフォスコ、Schioppettino/スキオッペッティーノ)を開始するようになる。趣味でこれらの珍しい品種でワイン造りを行なう中、徐々に本格的なワイン醸造にも目覚め、<マサイアソン・ワイン>を2006年に奥さんのジルさんと立ち上げる。 馴染みの薄い品種で造るワインで知られるようになったが、旗揚げ当初はナパを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローをブレンドしたワインでスタートして、現在も、カベルネをベースにしたワインはラインアップにいくつか含まれている。また、自宅の隣の畑Linda Vista Vineyardからシャルドネを購入し、白ワインのラインアップに加えている。 (イメージ:Matthiasson Wines/Twitterより) 近々、Linda Vistaを一部購入し、ナパの正式ワイナリー認定を目指す。(ナパの正式ワイナリーの許可書を得るためには醸造施設周辺に最低10エーカーの畑からワインを造る必要がある。)おそらく正式ワイナリーになれば畑管理コンサルタント業務を控えるようになり、更にアッと驚くような品種で造るワインやワイン醸造の腕を上げてくるのではないかと推測している。また、ワイナリーとして生産量が増えて、現地調達のお土産用以外にも国内へ輸出できるようになることを大いに期待している! カリフォルニア(特にサンフランシスコやロサンゼルス)ではワイン愛好家が通うの人気のワインショップで<マサイアソン・ワイン>を購入することが可能。オススメは当然、代名詞の<Napa Valley White Wine>のシリーズでリボッラ・ジャッラ、トカイ・フリウラーノ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨンをブレンドした人気のワイン。また、新しいシリーズで<Tendu California White Wine>はヨロ郡(ナパから北東に100キロ行ったDunnigam Hills AVA/ダニガム・ヒルズ)で栽培されたヴェルメンティーノ(イタリア原産)から造った白ワインも要チェック! (イメージ:MatthiassonWines/Facebookより) (ニュース・ソース:SF Chronicleより)

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ワイン・ニュースのまとめ

(イメージ:Siduri/Facebookより) 国内でも人気のカリフォルニアのソノマ産地でピノ・ノワールを造る<Siduri/シドゥーリ>のオーナー兼ワインメーカーのアダム・リー氏がオレゴン州のウィラメット・バレー内のサブ・アペラシオン<Chehalem Mountains AVA/チュヘイラム・マウンテン>のワイナリー<Hawks View Cellars/ホークス・ビュー・セラーズ>の新しいワインメーカーに抜擢された。 (イメージ:HaksViewCellars/Facebookより) すでにソノマで2.5万ケース規模で年によって17~26種類(!!!)の異なったピノを2つのワイナリー(SiduriとNovy Family Wines)で醸造を行なっており、今回のHawks Viewは年間2,500ケース生産するブティック・ワイナリーで、単純に他州のワイナリーで仕事量が増え効率的ではないと思えるが、リー氏はオレゴンとの縁が深く断るよりプラス要素の方が多いと考えているらしい。 まず、Siduri用のワインにHawks Viewの畑を含め、ほかにも3つの畑から単一畑でチュヘイラム・マウンテン産のピノを供給している。今後もオレゴン産のピノをラインアップに加えるのであれば、現地に詳しくなることは無駄ではない。また、ワイン醸造技術を磨く経験に関して95年、96年、97年のヴィンテージはオレゴンにとって<難しいヴィンテージ>で、この時の経験が今のピノ造りに大いに役立っているとリー氏はコメントしている。同じ葡萄でも異なった環境でワイン造りを行なうことは有意義のある挑戦で、新たなスタイルの構築にも役立つかも知れない。これまでのSiduriで造っているワインと異なったスタイルで新しいオレゴン・ピノを仕上げるのか、新しいワインを試してみるのを楽しみだ。 (ニュース・ソース:Wine Spectatorより) *** (イメージ:Because I Am Fabulousより) Siduri関連でもう一つ、オバマ大統領が今月8日にホワイト・ハウスで開催された恒例のホリデー・ディナー(最近はアメリカでは宗教や思想の違いからクリスマス・パーティーと呼ぶのを控える・・・)で<2012 Siduri Russian River Valley Pinot Noir>が振る舞われると、ホワイトハウス公認のブログで発表された。 RRVピノの2012ヴィンテージのラベルのロール。 (イメージ:Siduri/Facebookより) Siduriのほかにカリフォルニアのナパ産の<Domaine Chandon/ドメーヌ・シャンドン>のスパークリングと<Hagafen/ハガフェン>の<2011 Napa Valley Merlot> そして、Hagaefenのセカンド<Don Ernesto/ドン・アーネスト>の<2012 Collage Roussanne/Marssanne>も用意されるようだ。 ちなみにハガフェンとドン・アーネストのオーナーはユダヤ系の方で、ナパ唯一のコーシャ認定のワイナリーでもある。 このホリデー・パーティーは恒例の「ケネディー・センター・ホナーズ」と呼ばれるアメリカの芸術文化に貢献した人を表彰するセレモニーの直後に開催されることから、表彰される面々も当然、パーティーにも参加。今年の表彰されたのはギターリストのサンタナ、女優のシャーリー・マクレーン、ミュージシャンのビリー・ジョエル、ジャズ・ピアニストのハービー・ハンコック、そしてオペラ歌手のマルティナ・アローヨさん。 … Continue reading

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カリフォルニア2011<苦戦のヴィンテージ>の評価

カリフォルニアの2011年ヴィンテージは<苦戦のヴィンテージ>として業界では語られる。この<苦戦のヴィンテージ>からいよいよの赤ワインがリリースされる時期になっており、ワイン専門誌では徐々にその正体を明らかにしている。 (イメージ:Dutton-Goldfield Winery/Facebookより) まずは<苦戦のヴィンテージ>の由来を振り返ってみよう。2011年と言えば国内では東北での震災の年で津波被害からの建て直しや放射能漏れなどと日本全国で景気の冷え込みが長期に続いたが、カリフォルニアでは違った意味の冷え込みが長期に続き、葡萄栽培に関して多くの農家が苦戦した。 春先には北カリフォルニアでは雨が4月に入っても治まらず、つぼみ/芽の開花が大幅に遅れた。中央や南カリフォルニアに関しては春先には同じく気温が上がらず、霜の被害がパソロブレスからサンタバーバラの畑で発生し、春先の段階ですでに大半の葡萄を失った農家は少なくなかった。 カリフォルニア全土で葡萄の生長は出遅れ、しかも例年より涼しい夏となっていたが、9月まではどうにか多少希望が持てるシーズンになると思われていたが、10月の始めに大型の豪雨が北カリフォルニアを長期に襲い、収穫間近の品種の多くにはカビが付き腐敗果が多く出てしまった。  (イメージ:VML Winery/Facebookより) 特に北カリフォルニアでは<10月4日>が豪雨の開始日として、この前に収穫できた畑は、そこそこ安定感があるワインを造りことができたが、これ以降の収穫した畑は腐敗果交じりでバラつきが出るワインに仕上がった認識である。通常の年であれば10月初旬ではカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルが未収穫で残るが、2011年は春先に雨が続き、夏も涼しかったため、すべての品種の成長に対して遅れが出てしまい、通常では収穫済みであったはずのピノ・ノワール種やシャルドネ種の収穫のタイミングがちょうど豪雨の時期と重なってしまった。 腐敗果は貴腐ワインを造る目的でなければ、葡萄農家泣かせの事態。表面に少しの湿気が存在するだけでカビは成長してしまい、正直、腐敗が進んでいなければ、簡単な検査では見分けることもできない。しかも、一般の収穫作業員は腐敗が明らかでなければ、仕分けることできないことから、除かれないまま醸造所に運ばれる。醸造を始める前に、最後の葡萄の仕分けの工程がある。当然、上質なワインを造るのであれば葡萄の水洗いや殺菌などはもっての外で、仕分機のコンベアベルトで流れてくる葡萄を見て・触って、取り除くしかない。十分な資金があり、仕分けの作業員を増やし、時間をかけてできるワイナリーであるのなら、腐敗果の取り除きが可能だが、中小規模で少人数で行なっているワイナリーにはどうしても欠けてしまう作業となってしまう。 (イメージ:Kanzler Vineyard/Facebookより) ワイン批評家の間で2011年ヴィンテージの特にピノ・ノワールの味わいの感想に<カビ臭い>の表現が連発されている。また、10月初旬の豪雨で腐敗果の恐れを察知し、完全に熟す前に収穫した栽培家も多くいたため、<タンニンが苦く>出てしまった感想も多くあげられている。この<カビ臭さ>と<苦いタンニン>はいくら熟成期間を経ても消すことができない要素であることは専門家の間で認識されている。修正が効かないワインに仕上げてしまったことから、2011年ヴィンテージにはワインの一生涯に残る特徴が刻まれ<苦戦のヴィンテージ>のレッテルが付いてしまうのもどこか魅力的にも感じてしまう・・・ 一方、10月の豪雨を免れたパソロブレスやサンタバーバラ産のワインには北カリフォルニアほどバラつきがない感想が出ている。ただし、春先の霜被害で多くの収穫量を奪われたことから生産者は決して喜んではいない。 また、決して2011ヴィンテージがすべて劣っていると言う意味でもなく、上質なワイン造りに取り組んでいるワイナリーはあえて腕の見せ所と感じて細かい箇所まで気を使い、バランスのいいワインを造っている。販売が開始されたばかりのヴィンテージなので、苦戦したワイナリーを紹介するより、安定感のある上質なソノマ産のピノ・ノワールをいくつかを紹介しよう。 *** ワイン・エンスージアスト誌で高い評価を獲得した2011ヴィンテージのソノマ産のピノ・ノワール:Williams Selyem、Merry Edwards、Paul Hobbs、Rochioli、Lynmar、Dutton-Goldfield、Joseph Phelps、Failla、Flowers、 Freeman、Sojourn、Siduri (イメージ:Zinfandel Chronicles、Dutton-Goldfield Winery/Facebook、William-Selyem/Facebook、Lynmar Estate/Facebookより) ワイン・スペクテーター誌で高い評価を獲得した2011ヴィンテージのソノマ産のピノ・ノワール:Aston、Kanzler、Meiomi、Reuling、Auteur、Kosta Browne、Mueller、Sonoma-Loeb、Venge、Belle Glos、Peter Michael、Patz & Hall、Saxon Brown、Robert Stemmler、VML、Walt、August West、Paul Hobbs、Lynmar (イメージ:Schrader Cellars、Kanzler Vineyard/Facebook、Gastrobits、Mueller Winery/Facebookより) … Continue reading

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ナパでリフィル(中身詰め替え)を開始したワイナリー

(イメージ:Reata Wines/Facebookより) ナパ・バレーの最南端に位置するワイナリーとして知られている<Jamieson Ranch Vineyard/ジェミエソン・ランチ>が造る<JRV>と<Reata Wine>のカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネがワイナリーのテースティング・ルーム限定でリフィル(中身詰め替え)サービスを利用することができる。 (イメージ:Reata Wines/Facebookより) JRV Double Lariat Cabernet Sauvignon 2011(通常ウェブ価格:60ドル)、Reata Three County Pinot Noir 2012(通常ウェブ価格:35ドル)、Reata Carneros Chardonnay 2012(通常ウェブ価格:不明)のところを<リフィル用の1リッターのボトル>を含めて38ドルで販売。そして、次のリフィル価格はカベルネが38ドル、ピノが22ドル、シャルドネが19ドル。またワイナリーの会員になると更に初回購入価格が半額のディスカウントに加え、リフィルも通常価格より安くなる。 (イメージ:Reata Wines/Facebookより) お買得だけでなくゴムパッキン付きのリフィル瓶を活用することでエコ・コンシャスで環境保護に貢献している。 アメリカでの酒類業界ではリフィル瓶(中身詰め替え)を活用することを<Growler/グラウラー>と呼ぶ。正確にはGrowlerは陶器やガラス製で容器をさしており、缶ビールが普及する前にビールを酒屋や飲み屋から持ち帰る際に活用された道具。 (イメージ:Houston Culture Mapより) 今年に入ってクラフト・ビール(地ビール)とピノ・ノワールが盛んに消費されるオレゴン州では法改定が行なわれ、これまで違法となっていたGrowlerサービスを全面的に酒屋や飲み屋で許可することとなり古くからの風習が復活したことからアメリカ全土から注目を集めた。ビールやワイン以外にも<フローズン・ヨーグルト>(ヨーグルト・アイス)やアメリカで人気のデトックス飲料の<コンブチャ>などもリフィル・サービス・ビジネスに加わっている。国内ではスーパーなどで飲み水の自動販売機でのリフィル・サービスが活用され、昔はお米も自動販売機で容器に詰める形で販売していた記憶があるが、エコ・コンシャスな人が多い中、意外とサービスの種類が少ないのが実態。 Growlerやリフィル・サービスの最大のネックは衛生と腐敗管理で、ビールやワインにしても基本的には24時間以内の早飲みが新鮮さや美味しさが楽しめるのが前提。全米ではクラフト・ビール(地ビール)造りは今だ人気が強く、ワインに関してもサーバー樽にワインを入れてバー、レストラン、ホテルなどに販売するワイナリーも増えている。工場から販売店へ届ける時間や距離が短いほどGrowlerやリフィル・サービスが盛んに行なわれるような気がする・・・ (イメージ:Free Flow Winesより) 今回のジャミエソン・ランチの取り組みも基本的には地元住民向けのサービスで今後このようなサービスがどれだけ増えるのかが注目されると思われる。 ジェミエソン・ランチのワインメーカーは日本人の中村倫久(ノリヒサ)氏が勤めている。ホテル・ニッコー・サンフランシスコで勤務中にUC大学デイヴィス校でワイン醸造を学び、数々の有名ワイナリーで醸造技術を磨き、自らのラベル<Nakamura Cellars>でもワインをリリースしている活躍ぶり。ワイン界の<中村ノリ>氏が造るワインを試すだけでも、一度はジェミエソン・ランチのテースティング・ルームを訪れる価値は十分にある! (イメージ:Reata Wines/Facebookより) (ニュース・ソース:Global … Continue reading

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ワイン・ニュースのまとめ

いくつかワイン関連の事件やもめごとに関する続報を・・・ はじめは先週お伝えしたワシントン州シアトルのワインショップ兼ワイン倉庫の盗難事件の続報。まず、事件を起こした2人組みの容疑者は逮捕され、盗まれたワインも発見されたとシアトル警察の発表で明らかになった。 (イメージ:Seattle Police Departmentより) ワインは1キロも離れていない別の温度管理がされた倉庫内で発見され、現在は盗まれたワインと見つかったワインの照合を行なっている。また、今回の犯行は今年初めにサンフランシスコで起きたワイン盗難事件と犯行が似ているため、同一グループの犯行として捜査がはじまった。 2人組みの犯人の一人が逮捕された際にサンフランシスコを拠点にワイン・ディーラーを営んでいる人物とワイン販売の商談やり取りが発見され、このディーラーは今回の商談ワインの価格があまりにも安かったためワインに関して疑問を抱き商談を断ったが、今年春先に同じ人物から10万ドル(1000万円)相当のワインを購入したとを明らかにし、これらのワインはサンフランシスコのFine Wines International社から奪われたワインではないかとの可能性が高まった。 (イメージ:Fine Wines International/Facebookより) (ニュース・ソース:SF Chronicleより) *** (イメージ:Artesa Vineyards & Winery/Facebookより) 昨年の6月に紹介したスペインのカヴァで有名なコドルニュー・グループ社(Grupo Codorniu) がナパで運営しているワイナリー<Artesa Vineyards & Winery/アルテサ>がソノマ郡のソノマ・コーストの300エーカーの約150エーカーの土地を葡萄畑に改造する計画でレッドウッド(アメリカ杉)やもみの木などを伐採する計画に地元の自然保護団体が改造差押さえの申し出を裁判所に提出し、今月のはじめに裁判所は伐採はカリフォルニア州の環境保護法に準じていないことから一旦は州が許可した改造工事の認可を取り下げる判断を行なった。 そもそも、りんご園が存在した農業用の土地でアメリカ杉やもみの木なども保護法の対象とならない比較的に新しい木であることも主張したが、裁判所から工事許可を得ることはできなかった。とりあえず、葡萄畑の改造工事は一旦白紙になったことで、今回は環境保護団体に軍配が上がったが、アルテサ側も更に計画を練って再度工事許可を求めに行く方針である。 (イメージ:Artesa Vineyards & Winery/Facebookより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより) *** (イメージ:Paul Hobbs Wines/Facebookより) 最後は先月紹介したPaul Hobbs Wineryがソノマの学校の近くで葡萄畑を開業するニュースのつづき。前回までの話では、学校を利用する子供たちの親が中心となって結成した畑反対派のグループが裁判所に提出した抗議に対して今度はPaul Hobbs側が反対グループに訴えは妨害行為で違法性があるとの訴えを裁判所に行なった。 … Continue reading

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ナパの<谷底>と<山腹>カベルネの違い

ナパ産のカベルネ・ソーヴィニヨンは誰も文句をつけることができないほど最上級のワインを生産しているが、ここに来て特にナパで活動する生産者の間で、ナパの谷底で栽培される葡萄と谷を囲む山の斜面で栽培されるカベルネ・ソーヴィニヨン、果たしてどっちが上なのか?大きな違いは存在するのか?議論テーマとして持ち上がる。 11月下旬にナパ・バレー・ヴィントナーズ主催で<谷底>と<山腹>のカベルネを飲み比べるテースティング会が開催され、ナパで活躍するワイン関係者が集まり、特にまだなじみの薄い<山腹>のカベルネの特徴とポテンシャルが話し合れた。 テースティング会には次の面々が揃った、元Decanter誌の編集長Adam Lechmere氏、スプリング・マウンテンAVAのCain VineyardのワインメーカーChris Howell氏、プリチャード・ヒルのContinuumのオーナー/ワインメーカーTim Mondavi氏、ラザフォードAVAのCorisonのオーナー/ワインメーカーCathy Corison氏、ラザフォードAVAのRaymond VineyardsやカネロスAVAのBuena VistaのオーナーJean-Charles Boisset氏。 まずはナパ・バレーの<谷底>と<山腹>位置を確認しよう。ナパの谷底の中心走るハイウェイ29から考えると、南からオーク・ノールAVA、ヨントヴィルAVA、オークヴィルAVA、ラザフォードAVA、セント・へレナAVA、そしてカリストガAVAが<谷底>となる。ちなみにヨントヴィルの隣がスタッグズ・リープAVAでこちらも<谷底>の一部となる。 (イメージ:Napa Valley Vintnersより) ハイウェイ29の西側の<山腹>は南からマウント・ヴィーダーAVA、スプリング・マウンテンAVA、ダイアモンド・マウンテンAVA。一方、ハイウェイ29の東側の<山腹>は南からアトラス・ピークAVAとハウエル・マウンテンAVAで構成される。東側のセント・へレナAVAとハウエル・マウンテンAVAの間に位置する<プリチャード・ヒル>はAVA認定はされていないが<山腹>の一部に入る。 更に東にあるチレス・バレーAVAとナパの最南端を構成するカネロスAVA、コームズヴィルAVA、ワイルド・ホースAVAはカベルネが盛んに栽培されないことから<谷底>と<山腹>の議論から外れる。 ~ 地形の特徴 ~ 斜面が急であるほど風の影響が受けやすくなり、葡萄の木にストレスが強くかかる。土壌は標高と地域によって異なり火山灰、ローム、ライムストーンそして大型の岩が所々に存在する。葡萄栽培の環境を造りを行なうために時にはダイナマイトで大型の岩を爆破し、均等な土壌を造る必要がある。平均的に<谷底>に比較しても栽培コストは高く付き、高額の価格設定もやむを得ない。  Pritchard HillのChappelletの畑におかれたまま岩。 (イメージ:Rot.より) ~ 気温の特徴 ~ ナパの<山腹>エリアの世界各地の<山腹>産地と比較すると決して<涼しい気候>の部類に区分することができない。昼間<谷底>に集まった温かい空気が冷たい空気に<山腹>エリアに押し上げられる。特に夜間の気温は<山腹>の方が平均数値が<谷底>より高い。ただし、昼間の温度は<谷底>よりも低い。夏場でも100℉を超えることはない。 <山腹>エリアは<谷底>よりも乾燥しており、霧が持ち込む湿気の影響を受けないことから、特に冬の間は霜の被害を受ける心配もない。 Pritchard HillのColginの畑から見た霧の様子。 (イメージ:Rot.より) AVA別で見ても最北端のダイアモンド・マウンテンが<山腹>の中で最も暖かく、南に位置するマウント・ヴィーダーがもっとも涼しい平均気温を記録する。 ~ 葡萄の木の特徴 ~ 急斜面に植えられた葡萄の木ほど風を受け、水分の吸収が少ないことからストレスが高くかかる。平均的に葡萄の木が小さく、6歳から7歳の木は2歳の程度にしか見えない。房も小さく付き、特にカベルネの場合、一つの房の大きさはこぶし程度の大きさが普通。実も小さく、果皮は厚く成長する。果皮と果汁の割合を<谷底>と比較すると約半分程度である。収穫量は1エーカーから1.5トンから2トンが平均。 Howell MountainのCimarossaでは4方向に斜面が向いている珍しい畑。 (イメージ:Rot.より) ~ 葡萄収穫とワイン造りの特徴 ~ 収穫は<谷底>より2週間程度遅く始まる。通常は<谷底>よりも長いハングタイムだが糖度の平均数値は25Brixで収穫される。ちなみに<谷底>の平均糖度は27Brixとなっている。 ワイン造りに関してはカベルネでのワイン造りの最も気を使うのは「タンニン」の扱い。果皮が厚いため多くのタンニンを抽出することが可能で、パワフルに出てしまうため、特に<自然派>や<ミニマリスト>のアプローチでのワイン造りを行なうのであれば、醸造の最初の段階から扱いを注意しなければならない。 ~ ワインの特徴 ~ 新鮮で天然の柔らかい酸、厚みのあるタンニン、そしてミネラル質の味わいが<山腹>カベルネの大きな共通な独自の特長と大半の意見は揃う。これ以外は<谷底>と<山腹>を問わず、ワインメーカーの醸造スタイルまたは道具(新品の樽など)でフルーツの味わいやボディなども変化すると考えてもいいだろう。 今回のテースティング会でも上記の3つの特徴以外には<谷底>と<山腹>のカベルネの区別をつけることは困難であることが明らかになった。Cathy … Continue reading

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ワイン・ニュースのまとめ

今週は<ボジョレー・ヌーヴォー>のリリースでワイン関連のニュースは賑わったが、この他にもいくるが興味深いニュースを紹介します。 *** (イメージ:Wally’s Wine & Spirits/Facebookより) まずは高級ワインの取り引き場所が増えた、ロサンゼルスを拠点にしていた老舗ワイン・ショップ<Wally’s Wine & Spirits>が今年の6月に新たなオーナーに売却され、ワインショップの既存の在庫とその他集められたワインを対象にオークション・ハウス<Wally’s Auction House>が旗揚げした。第1回目のオークションはニューヨークのアメリカン・アートのウィットニー美術館で開催され約600以上ロットで268万ドル(2億6千万円)を売り上げた。 オークションのハイライトの一つは<ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ2010>33本が132,000ドルで落札された。また<ドメーヌ・フ-リエ のグリオット・シャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ 2009>21本は38,400ドル。<ドン・ペリニヨン・エノテーク1969>12本が36,000ドル。 今回の<Wally’s Auction House>の最も注目される点は、ファッション・ブランド<Guess Jeans>で成功を収めた<ポール & モリース・マルシアーノ>氏がWally’sを購入し、著名人の間でワイン・コンサルタントとして活躍する<クリスチャン・ナバーロ>氏に経営を任せ、90年代からニューヨークを拠点に活動するオークション・ハウスの<Zachys Wine Auction>からワイン・オークションを専門とする<マイケル・ジェンセン>氏と<ジュリア・ギルバート>氏を引き抜きスタートをきった。いわば<ドリーム・チーム>が集結し始めたオークション・ハウス。皮肉にもワイン・ショップだった頃のWally’sは何度か過去にZachysと組んでオークションを実施していた実績がある。また、これまでオークション・ハウスの多くがニューヨークを拠点に活動していたが、ロサンゼルスを拠点にするオークション・ハウスであることも注目を浴びている。 (イメージ:Wally’s Wine & Spirits/Facebookより) (ニュース・ソース:Wine-Seacher.comより) *** (イメージ:Appellation St. Helena/Facebookより) ナパ・バレー内のセント・へレナAVAが最新の<ヴィンヤード(畑)マップ>を制作した。マップを制作したのがセント・ヘレナのAVAの支援団体グループ<Apellation St. Helen(ASH)/アペラシオン・セント・へレナ>が行なった。 セント・ヘレナには11,663エーカーの総面積に、6,681エーカー分の葡萄の木が植えられており、ナパ・バレー内では最大の面積を誇る。大小含めて全部で170の個別の畑が存在する。 中にカリフォルニアのワイン産業を代表する歴史的なCharles KrugやMondaviなどもあれば、知名度は一般的ではないがカリフォルニアのワイン産業を象徴するWender、Bourn、Heitz、Colgin、David Fulton、Titus、Wight、Beckstoffer、Hundred … Continue reading

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バランスがとれた低アルコールのカリフォルニア・ワイン

(イメージ:Napa Valley Grapegrowersより) ナパで開催される注目イベントに成りつつある<Napa Valley Grapegrowers/ナパ・バレー・グレープグロワーズ(葡萄栽培家)>主催の<WINE + GRAPE EXPO>が11月14日に今年も実施された。このイベントはナパ・バレーで葡萄農家およびワイン生産者たちが栽培から醸造まで技術や傾向を共有する教育重視のイベントで特にナパ発の最新のワインに関するトレンドや今後の傾向を予測するのに役立つイベントとして注目されている。 今年は一般参加も可能な<バランスのとれた低アルコール度数のワイン>に関するセミナーが注目が集中した。このセミナーのパネリストには<Ridge Vineyards/リッジ・ヴィンヤード>のポール・ドレーパー氏、<Screaming Eagle/スクリーミング・イーグル>のニック・ギスラソン氏、<Arnot-Roberts/アーノット・ロバーツ>のダンカン・アーノット・マイヤー氏、SFクロニクル紙ワイン・ライターのジョン・ボネ氏、パネリストおよび司会進行は<Matthiasson/マサイアソン>のスティーブ・マサイアソン氏と豪華な面々がそろった。 左に今回のセミナーの司会進行とパネリストを勤めたS・マサイアソン氏。 (イメージ:Napa Valley Grapegrowers/Facebookより) 主にここ20年ナパや北カリフォルニアで続けられていた<パワフル>で<フルーツの熟成度>を最大に活かしたワインがカリフォルニア・スタイルとして支流として造られていた。パネリストたちによるとこの要因は大きくナパ産地を担当していた<2人のワイン批評家>の影響が大きかったと振り返った。 46年前にリッジでワイン造りを始めたドレーパー氏は当初は30年代に造られたInglenookやLa Questaのスタイルや40年代のボルドー産のワインなどがワイン造りの教科書の手本となっており、これらのワインは今ではカリフォルニアでは珍しいくらいの12.5%以下のアルコール度数のワイン造りを目指していた。 ドレーパー氏が造ったリッジの<1971 Monte Bello Cabernet>は1976年のパリ・テースティングで5位に入賞し、2006年に開催された<パリ・テースティング30周年記念>の再現テースティング会では1位を獲得し、当時の彼が活用していたワイン造りの手法は決して劣っていなかったことを証明した。 1976年のパリ・テースティングで5位に入賞したリッジ・ワイン。 (イメージ:Wikipediaより) 一方、若手醸造家たちのアーノット・マイヤー氏やギスラソン氏は修行時代にすでに15.5%のアルコール度数が支流になっており、そのスタイルが当たり前と考えていた。アーノット・マイヤー氏の場合、独立してから様々な葡萄産地の研究、天候の影響で葡萄の熟成値が上がらない場合の対処方法、そして、あるニューヨークのワイン・バイヤーの強い要望で顧客からもっとバランスの取れた、低アルコールのカリフォルニア・ワインはないのかのリクエストに応えることが、スタイル変更の大きな要素になったと説明している。 アーノット・ロバーツのシラーはカリフォルニアでは非常に珍しく11.9%のアルコール度数。 (イメージ:solosyrahより) また、ギスラソン氏の場合はスクリーミング・イーグルのスタイルを継承する必要があり。実際に過去のヴィンテージを調べていたところ1990年代初期には13%のアルコールのワインも存在しており、よりまろやかに仕上がっていたスタイルのワインであった。現在は熟成や収穫の判断は数値よりも、葡萄の味わいを優先して収穫時期を決めていると公表した。 2011年に20代の若さでスクリーミング・イーグルのワインメーカーに抜擢されたN・ギスラソン氏。 (イメージ:Wine Enthusiastより) アルコールを抑える最大の要因は葡萄畑での取り組みが大きく影響し、自身のワイナリー以外にも葡萄畑管理を専門とするマサイアソン氏は台木選びから始まると説明した。葡萄の熟成スピードを抑え、房の数も抑えることができる<St. George/セント・ジョージ>などの使用を薦める。また、葡萄の木の植え並び方法にも工夫すれば、早く熟成せずに必要な糖度を得られるバランスの取れた葡萄が栽培することが可能と説明。より多くのカバー・クロップの使用と耕作を減らすことで自然環境にもプラスをもたらす手法があると加えた。 最後はワイン・ライターのボネ氏がワイン業界で起きている変化のスピードは変わってきたと忠告を促した。これからのワイン需要を左右するのが<ミレニアル世代>で、これらのワイン愛好家は親が楽しんでいたワイン(特にパーカー・スタイル)は極力避けるようになり、自分たちのスタイルのワインを求める傾向があると説明。これまでの愛好家よりも知識が豊富だが、当然、高額のワインを入手することができないため、バランスや様々な料理とのペアリングなどに重点したワインへの需要がこれまでにないスピードで変化していると説明。 パネリストたち全員は需要の変化に対する対応方法の鍵が過去の<伝統的なワイン造り>にヒントがあると意見が一致する。カリフォルニアにも多くの伝統的な葡萄・ワイン造りの手法が存在することから、最新の技術だげでなく、過去の取り組みも再度研究し直して業界全体に役立つ手法や習慣を共有することが必要と考えている。 (ニュース・ソース:Wine Business.comより)

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