Monthly Archives: May 2013

サンタバーバラの伝説の畑<Sanford & Benedict Vineyard>

(イメージ:Santa Barbara News Pressより) サンタバーバラのワイン・カントリー近郊に<ホワイト・ファイヤー>と呼ばれる山火事が今週の現地時間の28日に発生し、30日にはおおよそ火の勢いを抑えることに成功し、1984エーカー分のエリアが焼けたが、一番近かったサンタ・イネズ・バレーAVAへの直接の被害は今回は免れたと地元サンタバーバラ・ニュース・プレス紙は報告している。 (イメージ:Santa Barbara News Pressより) *** 山火事の発生直前にはアメリカでは<メモリアル・デー>を祝う3連休で賑わっており、サンタ・バーバラのサンタ・イネズ・バレーでは珍しいメンバーが集まった会合が開催された。映画『サイドウェイ』でも紹介されて、日本でも花のラベルでおなじみのSanford Wineryの創業者リチャード・サンフォード氏は70年代にマイケル・ベネディクト氏と共同でSanford & Benedict Vineyardを開始した。この畑こそがカレラと共に現在のサンタバーバラ産のピノ・ノワールとシャルドネの人気を博す聖地の一つと考える人は少なくない。創業当初の関係者や地元ワイナリーでこの畑から葡萄供給をしてもらっているワイナリーのワインメーカーなどが集まり、過去と現在のワインを試飲しながら畑に関する話を共有する会が開かれた。 現在のSanford & Benedict Vineyard。 (イメージ:RJ on Wineより) 現在、Terlato Wine Group(テルラト・ワイン・グループ)が所有するSanford & Benedict Vineyardは135エーカー(内66エーカーはピノ・ノワール、51エーカーはシャルドネ、その他ピノ・グリやヴィオニエなど)で葡萄栽培は行なわれている。Sanford Wineryを含めて現在、小規模生産のブティック・ワイナリーのAu Bon Climat、Sandhi、Devolet、The Hilt、Lutum、Tyler、Brewer-Cliftonなどが畑の葡萄でワイン造りを行なっている。 白い髭をまとうマイケル・ベネディクト氏。 (イメージ:RJ on Wine/Baron Spaffordより) ヴィントナー殿堂入りを果たしたリチャード・サンフォード氏。現在はAlma Rosa Wineryで活動している。 … Continue reading

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オーク樽を効果的に利用する提案

ワイン造りの必須アイテムの一つが熟成樽。樫の木から造られるワイン樽の大半はフランス産、またはアメリカ産であり(クロアチアなど旧東ヨーロッパの国でも製造)1つの樽に対して約1000ドル程度の価格がする。ちなみに1つの樽は約228リッター(60ガロン/約300本のボトル/約25ケース)の容量。小規模ワイナリーで年間3000ケースを生産するワイナリーでも最低でも120個の樽が必要となる。プレミアム・ワイン造りで使用する樽の寿命は3~4年とされている。超プレミアム・ワインの場合、1回の醸造・熟成サイクルのみの使用にこだわっているワイナリーもある。 バレル・ブラスティング社の代表ヴィック・バスケズ氏。 (イメージ:Napa Valley Register/Lisa Jamesより) そこに登場するのがナパのバレル・ブラスティング社(バレル=樽、ブラスティング=突風や爆風を加える)。澱や染みの汚れが付いた樽を二酸化炭素を固体にしたドライ・アイスの技術を利用して圧力で清掃するサービスを行なっている。通常の水とブラシなどの清掃より細かい部分までの清掃が可能で、樽自体の寿命を延長することはできないが、ブラスト清掃を行なうことで、購入時に近い状態に戻すことができ、2回目、3回目の使用でもその樽本来のポテンシャルを活かすことができる。 (イメージ:Wine On The Blogより) 使用済みの樽にはよく瓶の底やコルクの裏に付く酒石酸が全体にこびりつき、樽を傷つけずに酒石酸を取り外すのは至難の技。多くの場合、深く削り落としてしまい、購入時の内側を焼くトースト仕上げまでも削り落としてしまう。トーストには風味を与えるだけでなく、殺菌効果もあるのでこれらを間違えて削り落とすと樽の寿命を短くしていることになる。また残り糟を完全に落とさずに次の醸造・熟成に活用すると味わいに対して影響を与えることもある。 二酸化炭素がドライ・アイスとして圧力をかけて汚れを落とす様子。 (イメージ:Barrell Blastingより) 1回、1つの樽に対して50ドルでブラスト清掃を行なっており、これまでは醸造所への出張サービスでビジネスを展開していたが、今月からはナパのダウンタウンの倉庫でビジネス拠点をつくり、隣には長年ナパで樽の修復サービスを行なっている会社があるので、利用者も清掃と修復を一回の訪問で済ませることができるようになった。現在、北カリフォルニア地域限定で主にナパ・ソノマのワイナリーが利用している。今後はセントラル・カリフォルニア、オレゴン、ワシントンなどにも展開を検討しているのと同時にオーストラリアや中国からの問い合わせも入ってきており海外進出もそう遠くない。 ブラスト清掃のいくつかのビフォー・アフターの例。 (イメージ:Barrell Blastingより) (ニュース・ソース:Napa Valley Registerより)

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リースリングをもっと楽しんでもらうには・・・

人にはそれぞれ好き嫌いががあるが、不思議なことにリースリングほど名前から連想させられるイメージで、ついつい避けてしまう葡萄品種は他にないのではないかと思う。ワインをよく飲まれる方であれば特に抵抗感はなく、リースリングの特徴を楽しんで飲んでいるのかもしれないが、どうしてもダメな人は抜きにして、近頃リースリングから遠ざかっている人には、最近いくつかリースリングに関する記事が掲載されているので簡単に紹介させていただきます。 ワシントン州を流れるコロンビア川沿いに位置するコロンビア・バレーAVAは上質なリースリングが多く栽培されている。どこかリースリングの本場ドイツのライン川の風景を彷彿させられる・・・ (イメージ:Seven Hills Wineryより) まずはアメリカでもっとも多くリースリング・ワインを生産しているワシントン州から。ワシントン・ワイン・レポートによると2001年頃にはリースリングはシャルドネに対して1/3の栽培量しかなかったが、2010年にはシャルドネの生産量を上回るまでシェアを拡大した。これには明確な理由がありワシントン州の最も古いワイナリーであるChateau Ste. MichelleやHogue Cellars、Pacific Rim Winemakers、そしてCharles Smithのワイナリーなどがここ数年リースリングの生産量を大幅に伸ばしおり、Chateau Ste. Michelleにいたっては年間で約100万ケースを生産し、<世界で最もリースリングの生産量が多いワイナリー>となった。ちなみに2012年のヴィンテージではワシントン州だけで200万ケース生産を突破すると予測されている。なぜ、10年ちょっとでリースリングがこれだけ数字を伸ばすことができたのかには大きく2つの要素が上げられている。 シャトー・サン・ミッシェルのワインメーカーのボブ・バートー氏と「リースリングの伝道師」のアーネスト・ローゼン氏。 (イメージ:Chateau Ste. Michelleより) 1つ目はワシントン州は北カリフォルニアとニューヨーク州のアメリカ国内のリースリング生産地と比べて異なったスタイルのワイン造りに取り組んでいる。特にChateau Ste. Michelleは1999年頃にドイツのモーゼル地区で活動し、Decanter誌から<2005年マン・オブ・ザ・イヤー>など数々の表彰を受けて「リースリングの伝道師」と呼ばれるアーネスト・ローゼン氏からアプローチされて<オフ・ドライ>スタイルのリースリング造りに取り組んだ。ドイツ・ワインの場合、ドライが辛口、スイートの甘口があり、<オフ・ドライ>は中間の甘さとの認識。甘さに抵抗感を持つ人には、なぜ、ドライに仕上げないのかと思う人が多いと思うが、リースリングの場合、独特の強めの酸味があり、そこに桃やメロンの味わいにミネラル感が加わり、様々な料理とのマッチングに多いに役立つ。Chateau Ste. Michelleのリースリングにはドライ、オフ・ドライ、レート・ハーベスト(遅積み)の甘口の3種類があるが、<リースリング>と表記されるワインは<オフ・ドライ>を指す。このワインだけで年間90万ケースを生産している。 <リースリング界のオーパス・ワン!?!>のEroica Single Berry Selectは、Chateau Ste. Michelleとアーネスト・ローゼン氏が共同で造ったハイ・エンドのリースリング。1本$200ドルと価格もご立派・・・ (イメージ:Tina Wong flickrより) 2つ目のワシントン州独自の特徴は1970年代前半にドイツから持ち込まれた苗が成長し、葡萄栽培を行なっているところ。その中で有名な畑はコロンビア・バレーのパスコ街にあるセージモアー・ヴィンヤード。全体で800エーカーの畑を所有し、カベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、メルロー、シャルドネ、シラー、カベルネ・フランそしてリースリングなどの葡萄品種を約60ヶ所のワイナリーへ供給している。ちなみにChateau Ste. Michelleにも葡萄を供給を行なっている。 樹齢40年のセージモアー・ヴィンヤードが所有するリースリング。 (イメージ:Great Northwest Wineより) セージモアー・ヴィンヤードが所有する『Dionysusブロック』と『Bacchusブロック』呼ばれるそれぞれ約20エーカー分の畑には1973年に植えられた樹齢40年のリースリングが存在する。『Geisenheim … Continue reading

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ワイン醸造技術と手法を検証する<ザ・ワインメーカー・テースティング>イベント

ナパ・バレー・ヴィントナー(NVV)とクーパレージ1912社が共同で第一回目の「ザ・ワインメーカー・テースティング」イベントを開催した。このイベントの目的は現代のワイン醸造の技術や手法を検証し、情報を共有することである。昨年の夏にNVV会員のワイナリーの協力を要請し、それぞれのワイナリーが独自に行なっているワイン醸造の技術や手法を記録していただき、それをこのイベントで発表してもらった。今回の第一回目では14種類の異なった技術や手法を個別の会場で代表者がプレゼンを行ない、イベントの参加者は自由にそれぞれのプレゼンを聞くことができた。 主催者側からはどの技術や手法を推奨するのかは避けたが、プレゼン内容で大体の方向性を読み取ることはできたと参加者のコメントで伺えた。 いくつかナパの醸造家が取り入れている技術や手法を紹介しよう。 (イメージ:Pellenc Australiaより) まずは畑から、ある畑では手積みの葡萄と収穫機で積まれた同じ葡萄を別々に同じ手法で醸造し、味わいや香りを比較する実験を行なった。この実験では味わいより、香りに関して違いが現れたと参加のコメントが集中した。 (イメージ:Hein on Wineより) 次にこのブログでも度々紹介させていただいているたまご型コンクリート醗酵・醸造タンクとプラスチック製の<T-Bin>と呼ばれる多くのワイナリーが活用する醗酵タンクの比較を2012年オークヴィルAVA産のメルローで行なわれた。コンクリート製とプラスチック製の大きな違いは温度の違いであったので、プラスチック製のタンクには温度管理ができる装置を付けた。また全体の容量の違いがあったが果汁と果皮の割合は同じ用に設定した。実験の結果、一つはよりフルーツの味わいが強調されており、もう片方はまだフルーツの味わいが若い・青いように感じられたとコメントがされていた。 (イメージ:Dubois Agrinovationより) (イメージ:MoreWinemakingより) ナパのホーニング・ワイナリーではソーヴィニヨン・ブランをステンレス・タンクを使用し3つの異なった酵母菌で醗酵する実験を行なった。一つは『VL3』菌で27日間の醗酵、また『VL1』菌で24日間の醗酵、最後は『Alchemy1』菌で20日間の醗酵を行なった。同じ畑で栽培された葡萄でも青草やハーブの特徴が強調されたものもあればシトラスやメロンの特徴が強調される違いが出てたとコメントが出ていた。 リーが底のに沈んだのを見えるように作られた樽。 (イメージ:Mora’s Fine Wineより) セント・へレナ産のカベルネ・ソーヴィニヨンを利用して<リー>(シュール・リー手法)の実験が行なわれた。リーは酵母が糖分をアルコールに醗酵する際に役目を果たした死んだ菌が醗酵・醸造タンクの底に沈み澱として溜まる。この澱にはワインの味わいに特徴を加えることができ、澱を取り除く醸造家もいれば、澱に浸けたまま熟成を続ける醸造家もいる。<シュール・リー手法>は澱を活用した醸造方法である。今回の実験では澱がタンクの底に沈んだ後に11月から2月の間、週に1回、中身をかき混ぜる手法とそのままかき混ぜない手法の実験結果を比較した。かき混ぜない方はブラックベリーの味わいが強調されていて、かき混ぜた方はフルーツの味わいの他に複雑な様々な味が加わったことがコメントされていた。 澱をかき混ぜるいる様子。 (イメージ:blog.vino.hrより) この他には葡萄の圧搾具合を比較する実験や熟成樽を使用する前に水に漬け込む手法、葡萄仕分けのマニュアル化や機械化、など日頃ワインメーカーが活用する技術や手法の良し悪しを人それぞれの好みで判断できる実際的なイベントは一般のワイン好きにとっても非常に興味深いイベントと一つで<ワイン・オタク心>を刺激されられる内容だ・・・ (ニュース・ソース:The Drink Businessより)

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ワイン・ニュースのまとめ

(イメージ:The Taste Makerより) 是枝裕和監督作の『そして父になる』が審査員賞に輝いて閉幕した第66回カンヌ国際映画祭ではボルドーのバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社がリリースする<ムートン・カデ>が映画祭のオフィシャル・ワインとして活用された。今年で22年目のパートナーシップであり、赤・白・ロゼの3種類のワインを限定デザインボトルでリリースするのに止まらず、メイン会場の屋上に3年連続で<ムートン・カデ・ワイン・バー>を開設。ワイン・バーはプレス会場としても利用され、『ロスト・イン・トランズレーション』でおなじみのソフィア・コッポラ監督や『サイドウェイ』でおなじみのアレクサンダー・ペイン監督などワインと関係が深い方々が訪れた。 Mouton Cadet Wine Barの様子。 (イメージ:CannessEnLiveより) ワイン・バーを訪れたソフィア・コッポラさん。 (イメージ:FirstLuxeより) (ニュース・ソース:WineSpectatorより) *** (イメージ:Rex Pickett Twitterより) 映画『サイドウェイ』関連で、原作者のレックス・ピケット氏が7月からカリフォルニア州サンディエゴのラ・ホーヤ・プレイハウスで『サイドウェイ:劇場版』を上演する。昨年の11月~12月にかけてサンタモニカの小劇場ラスキン・シアターで『サイドウェイ:劇場版』を上演したが、今回はトニー賞(舞台業界のオスカー)を受賞している演出家デス・マクアナッフ氏の指揮のもとで公開される。ゆくゆくはこの体制でブロードウェイに持っていくことが目標であるとピケット氏はコメントしている。 以前、このブログでも映画『サイドウェイ』の続編を実現するのは難しいと話しているが、今回も続編に関しては進展がないと説明。舞台上演のほかにピケット氏は新たしいワイン・プロジェクトにも関わっており、オレゴンのウイレメット・バレー産のピノ・ノワールを197ケースを生産。オレゴンのHarper VoitワイナリーのDrew Voit氏とTartan CellarsのDarcy Pendergrass氏の協力のもとでワイン・ブランド<Ne Plus Ultra>を立ち上げ。一般向けにリリースされるかは定かではないが、今のところは書籍のサイン会などで紹介しているようだ。 (イメージ:Rex Pickett Twitterより) (ニュース・ソース:Decanterより) *** (イメージ:The Couch Sessionsより) 最後は今年で2回目となった3日間の野外フード&ミュージック・フェスティバル<The Great GoogaMooga>がニューヨークのブルックリンで開催された。最初の2日間は天候に恵まれ無事に進んだようだったが、最終日の日曜は雨に見舞われ、いくつかの音楽イベントのキャンセルを余儀なくされた。昨年と同様に100種類以上のワインが用意された。日頃お目にかかれない小規模ワイナリーや世界各国の珍しいブランドを楽しむことができた。今年はニューヨーク州のワインが前年より多くフィーチャーされ、また昨年、東海岸を襲った台風「サンディ」被害にあったRed Hook Wineryも元気にブースを出展した。 (イメージ:Scott Lynch flickrより) … Continue reading

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ボルドーでの世代交代

現在、ボルドーで世代交代が醸造所で起きている。ワイン・スペクテーター誌はボルドー右岸のフロンサック地区のシャトー・ムーラン・オーラロック(Château Moulin-Haut-Laroque)のワインメーカー、トーマス・エルヴェ氏のインタビュー記事がに掲載された。 ロンドンの試飲会でのトーマス・エルヴェ氏。 (イメージ:@MoulinHtLaroqueより) トーマス氏はまだ20代で醸造所の総責任者のポジションで活躍するボルドーの若手の一人。父親のジャン・ノエル氏の後継者として2012年から金融業の仕事を辞めて、家業に専念することを決めた。この特集の重要なところはトーマス氏が際立って珍しい例ではないこと。現在、ボルドーでは17ヶ所の醸造者で若い<ミレニアル世代>の人材が家業の後継ぎとして活躍している。おそらく一番有名なのはシャトー・ペトリュス(Château Pétrus)で長年ワインメーカーとして活躍したジャン・クロード・ベルエ氏の息子さんオリビエ・ベルエ氏が2008年に当時29歳で父親のあとを引き継ぎペトリュスのワインメーカーに就任した。このほかにもサン・テミリオンのシャトー・ブティス(Château Boutisse)のマルク・ミラード氏は2005年に25歳の若さで4代目ワインメーカーのとなり現在も活躍している。 どの若手醸造家は父親の後継ぎとして、彼らの肩にかかるプレッシャーは絶大と様々なインタビューで語っている。前任者が築いた功績を持続することはかなり難しいことで、年齢とは関係なく、事業の心臓部分であるワイン造りをマスターするのに必死な努力を要する。 昔ならボルドー地域内での醸造家同士の競争が存在し、同業者の感覚よりライバル関係が存在したと語られているが、現在の世代は後継者としてのプレッシャーからなのか、競争心が薄れたのか、もしくはボルドーがあまりにも田舎でやることがないのか、若手同士の横のつながりを重視している。若手醸造家たちは共同開催のボルドー・ワインの試飲イベントで交流をはかったり、月に何度か地元で集まり情報交換をしながら食事を取ることも珍しくないとか。 突然だが、話は今週紹介したフランスの<農薬や殺菌剤使用問題>に逸脱するが、この問題に対して一つの解決案をもたらす期待が今回の若手醸造家の記事で読み取ることができた。若手醸造家が一世代前との違いの共通点に、彼らは皆、上質なワインは醸造所の中できるのではなく、上質なワインは畑でできるとの認識を共有している。これは年齢と直接関係しているのかもしれないが、父親たちは醸造所で多くの時間を費やしたが、彼らはより多くの時間を畑で過ごすことを心がけている。また、共通認識として、新たな角度から葡萄栽培を考える必要性を感じており、現状の葡萄栽培の習慣(農薬使用を含めて)には決して満足していない。全般的に方向性としては、より人の手を加えずにテロワールを本来のあるべき姿を活かし栽培を行なうことが理想と皆、口を揃え語っている。 <ミレニアル世代>は方向性が不明瞭で、集中力を欠き、新たしい物に対して個人レベルで没頭してしまう傾向があり、特にワイン業界では彼らにどうやってワインをマーケティングすればいいのか課題になっているが、ワインの生産者側の観点から見ると<ミレニアル世代>は過去の課題や改善が必要な要素に対して積極的に取り掛かっている様子が伺える。 今週は農薬と殺菌剤使用問題のニュースで気分が落ち込んでしまっていたが、最後に希望を与えてくれるニュースに出会えて正直、ホッとしている・・・ 『神の雫』でも取り上げられたChâteau Moulin-Haut-Laroque。 (イメージ:Château Moulin-Haut-Laroqueより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより)

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マーカッシンの<2008ピノ・ノワール>はリリース見送り

(イメージ:C.WAREより) ソノマ・コーストのマーカッシン・ヴィンヤード(Marcassin Vineyard)は山火事からでた煙の影響で2008ヴィンテージのピノ・ノワールはリリースしないとメーリング・リストに登録しているメンバーに公表した。 マーカッシンは「ワインの女神」と呼ばれるヘレン・ターリー氏とご主人のジョン・ウェットローファー氏とで経営するカリフォルニアのカルト・ワイナリーに一つ。シャルドネとピノ・ノワールの2種類のみを扱っており、常にワイン批評家からは満点に近い高い評価を獲得するワインを造っている。この高い評価こそが、今回の2008ピノ・ノワールのリリースを見送った大きな理由の一つと考えられる。 2008年にアンダーソン・バレーで起きた山火事マップ。赤く記したところが火事が発生地、紫はアンダーソン・バレーのワイナリーや畑の位置。 (イメージ:Wall Street Journalより) 2008年にソノマ・コーストの標高365メーターある20エーカーのマーカッシン・ヴィンヤードから北に60キロ離れたメンドシーノのアンダーソン・バレーで3週間に渡って初夏の山火事が発生し、煙臭が多くの周辺葡萄畑を被った。すでに2010年頃から2008ヴィンテージの煙臭の被害にあった様々なワインはリリースが始まっており、いくつかのワイナリーは最新ミクロろ過技術で悪臭を取り除く処理を行なったり、煙臭が完全に取り除くことができないまま少量のみをリリースしたり、または格安バルク・ワインとして卸したワイナリーも存在した。 マーカッシンの場合、これまでの各方面からの高い評価と夫妻がワイナリーを開業した際の約束で、自分たちの納得がいかないワインは世に出さない理由が今回の決断に導いたのと予測できる。年間で約2500ケースのワインを生産しており、約2/3がピノ・ノワールとなるらしい、その内マーカッシン・ヴィンヤードのピノを使用したワインが約500ケースとなっているので、このワインを処分するのは普通に考えてもワイナリー経営に対して大きな打撃になる。 *** マーカッシンはウェブサイトを運営せずに、メーリング・リストに登録しているメンバーにニュースレーターのみで様々な情報を公開し、ワインの販売を行なっている。一般の人がこのメーリング・リストに載るのにもかなり難しいようで、一つの電話番号が存在し、そこに留守電メッセージを残して返事が来のか来ないのかを待つ。中には4年後に手紙が届きメーリング・リストの招待状が届いたケースがあるとか・・・ 国内にはいくつかのマーカッシンの過去のヴィンテージをインターネットで購入できるが、かなりいい値段設定になっている。どうしてもターリー氏が造るシャルドネやピノを試したい方はマルテネリ・ワイナリー(Martinelli Winery)でリリースしているターリー氏が醸造したワインをオススメします。シャルドネとピノもマーカッシン・ヴィンヤードの隣の畑で栽培された葡萄も存在する。マルテネリのワインも決して安いわけではないが、テースティング・ルームがあり、現地に行かれる方にはオススメです。 2010年までリリースしてたマルテネリ・ワイナリーが所有する畑のピノを含んだマーカッシンのピノのラインアップ。 (イメージ:California Wine Reportより) (ニュース・ソース:Los Angeles Timesより)

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ワインに含まれる農薬と殺菌剤の研究

(イメージ:Prisma / SuperStock より) ワイン・スペクテーター誌で気になる記事が掲載された。葡萄栽培で使用する農薬と殺菌剤の安全性に関してフランスの研究機関が行なった調査で、ワインの消費者に対しては危険性は低いが、畑で働く労働者の健康に関して危険にさらされていることを発表。ワインや食品業界でフランス、アルゼンチン、スペイン、チリなどで研究所を持つエクセル・ラボラトリー社のパスカル・シャトネ博士によると、「農薬からの症状より、アルコールによる肝臓機能の低下が先に起きる」と冗談交じりのコメントを残している。 エクセル・ラボラトリー社では2008年~2010年の間325種類のフランス産のワインの内容分析を行い、約9割のワインに農薬と殺菌剤に含まれる9種類の分子が検出された。発がん性の分子は検出されず、大半の分子は各国の法律で定められた基準より低いレベルであった。最大の危険性は畑やワイナリーで働く方、近所の住む方、そして葡萄畑の生態系に与える変化と研究所は懸念している。 今回の調査は、葡萄だけでなく、ワインも食品安全性の検査の対象にするべきと訴える目的があった。現在はワインの消費者に危険性はないが、農薬と殺菌剤に含まれる9種類もの分子が存在することは気がかりで、シャトネ博士自身もボルドーのワインメーカーであることから分子の数は多すぎると考えている。シャトネ博士が造ったワインはオーガニック農法で栽培を行なっていないが、わずか1種類の分子しか検出されなかった。今回の調査で約1割のワインがシャトネ博士のワインと同様な結果が出た。 フランスで無農薬を推奨するNGO団体、ジェネレーション・フューチャーは最近、ボルドーで行なった調査結果を発表し、畑の作業員の髪の毛から標準より11倍の農薬と殺菌剤の残基が検出され、畑の近所に住む住民は標準より5倍の残基が検出された。15人の畑作業員の中から4人が10種類もの農薬が検出された。 フランスでは農薬の全体の約2割が葡萄栽培に使用される。その内8割が殺菌剤である。2012年に農薬と畑作業員の発がんなどの病気の発祥の問題でフランス政府に研修者などからの訴えが行なわれたが、多くのワイナリーは口を閉ざしたままが実態。ワイン業界では葡萄の木に発生するうどんこ病、カビや腐敗での被害に関する研究は盛んに行なわれており、現在は殺菌剤を使用せずに対処する方法の研究が盛んに行なわれている。ボルドーの大手シャトー9社のラフィット・ロートシルト、ラトゥール、マルゴー、オー・ブリオン、ムートン・ロートシルト、オーゾンヌ、シュヴァルブラン、ペトリュス、ディケムが共同で資金を提供し研究に貢献している。 (イメージ:Don’t Spray Californiaより) 消費者への健康被害は低いとフランスのワイン業界は考えているのかもしれないが、正直、畑作業員や畑の近所に住む住民のことを考えると非常に気になる内容。この手のニュースは風評被害でフランス産のワイン販売が落ち込み生産者の嘆きもわかるが、今だ農薬が人体に与える危険性に対して<ワインの本場>であるフランスでの意識の低さに対して絶望感のほうが強く感じる・・・中には殺菌後に畑に入ることを制限するルールを勝手に作業員が破っていると主張する意見もブログのコメントで読んだが、一方でフランスのワン誌のLaVigneによるとフランス政府は農薬の使用が2018年までに半減する声明に反して、実際は農薬の使用が増えているとの情報も出ている。いずれにしても畑作業員や近所の住民の健康を犠牲に、のんきにワインを楽しむことには難しくなるのは確かだ・・・このニュースを機に改善の方向に進んでくれることを期待したい。 (全イメージ:Behanceより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより)

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アマドールの<シェイク・リッジ・ランチ>

(イメージ:Yorba Winesより) ウェブサイトのAppellation Americaに興味深い記事が掲載された、アマドール郡の南側のサッター・クリークに位置するシェイク・リッジ・ランチ(Shake Ridge Ranch)がいくつかのカリフォルニアの注目ワイナリーに葡萄供給を行なっている。 シェイク・リッジ・ランチは46エーカー(約185,000平方メーター)の葡萄畑で、ナパのスターリング、ドメーヌ・シャンドン、スワンソンで葡萄畑管理責任者を勤めていたアン・クレーマー氏が家族で2003年に始めた畑。葡萄栽培に止まらず、家族でYorba Winesのブランド名でワイナリーも運営している。 この畑の大きな特徴の一つはジンファンデル、バーベラ、ペティ・シラー、ムールヴェードル、グルナッシュ、シラー、テンプラニーニョ、そしてヴィオニエと幅広種類の葡萄をオーガニック農法で栽培していること。Yorbaではシェイク・リッジ・ランチから収穫された葡萄で2000ケース程度をリリースしており、そして残りはカリフォルニアの約20ワイナリーに葡萄供給を行なっている。 先週の14日にシェイク・リッジ・ランチで面白い企画のワイン・イベントが畑内に開催された。Yorbaだけでなく、葡萄供給を行なっている他のワイナリーのワインも試飲できるイベント。また、畑全体の地図が用意され、どの位置で、どの葡萄品種を栽培しており、どのワイナリーが使用しているか、歩いて見て回ることができる特典。 (イメージ:Appellation Americaより) シェイク・リッジ・ランチは平坦の地形ではなく、標高1700フィート(520メーター)に小さな丘や谷間が複数存在する。そこに綺麗に並べて葡萄の木が植えられており、国内でもよく傾斜の地形で栽培を行なっている田んぼや茶畑のように、細かいディテールに敏感でなければできないようなレイアウトで葡萄栽培を行なっている。イベントの紹介記事のインタビューで旦那さんのダン・クレーマー氏は、葡萄の木を植え付けを最初に行なった際に位置や葡萄に木の向きを確認するのにコンパスは必需品で、作業着のポケットには円の跡ができるほどよく活用したと説明してる。 (イメージ:The Antique Gardenerより) 一見、この地形が葡萄栽培に関してマイナス要素に思えるが、実際、この地形がこれほどの種類の葡萄品種を栽培できる最大の要素として説明している。太陽に対しての向きや、陽が傾いたときにできる影や、谷底には水気を多く吸収できる土壌の特徴、日中と夜間の気温の変化など複数の異なった条件が複数の葡萄品種に適している。 (イメージ:The Antique Gardenerより) クレーマー一家がナパからアマドールに引っ越してきたときに、全体で146エーカーの土地を購入。まだ、半分以下は手付かずのままになっているので、今後も栽培土地を増やしていってシェイク・リッジ・ランチの葡萄を多くのワイナリーに供給していただけれることを期待している。 現在、葡萄供給を行なっているワイナリー: Yorba Wines (ジンファンデル、バーベラ、シラー、テンプラニーニョ、グルナッシュ+ムールヴェードル+ペティ・シラー+シラーなど毎年異なったブレンドの赤ワイン) Tribute to Grace(グルナッシュ) Newsome Harlow(ジンファンデル) BellaGrace JC Cellars Buccella Aratas Wine Tallulah(シラー、グルナッシュ+ムールヴェードル+シラーのブレンド) Ferdinand Wines Keplinger … Continue reading

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ワイン・ニュースのまとめ

(イメージ:FunHackerより) ブログ・プロパーダーのTumblrがYahoo(米国版)に買収されるニュースはインターネット上で大きな話題になっているが、ワイン業界ではツイッターやフェースブックなどのソーシャル・メディアの使用に関する規制が米国アルコール・タバコ税と貿易局から通告されワイン関連のニュース・サイトで取り上げられている。 主にアルコールの広告や宣伝に関する取り扱いが再度確認する形の通達で、様々なメディア媒体と同様にソーシャル・メディア上でもアルコールの広告や宣伝の規則は適用されることを通達した。一番のネックはアルコールを広告や宣伝する際に必ず、販売元を明らかにする必要があり、社名以外にも連絡先を広告や宣伝に明記する必要がある。少ない文字数で成立するソーシャル・メディアの多くでは、このような表記は場所をとってしまい、広告や宣伝内容が明記できなくなる。 また、広告や宣伝内での嘘や事実と異なった主張に関して、特にアルコールの取り扱いに関しては厳しく、当然なことと思っていてても、案外、証拠や根拠のない主張や冗談として行なった主張はYouTubeなどの動画サイトを含めて様々なソーシャル・メディアで頻繁に行なわれている。すでにこの通達に関して対策を練っているワイナリーもあれば、規制対象にあたる宣伝や広告があまりにも広すぎ・多すぎて、また、これを監視する能力は米国アルコール・タバコ税と貿易局にないことから、これまで通りに活用すると考えているワイナリーも少なくないようだ・・・ (ニュース・ソース:PressDemocratより) *** (イメージ:Terre de Vinsより) ロバート・パーカー氏が先週発売のフランスのワイン雑誌『Terre de Vins』に珍しくインタビューに応じ、彼がワイン・アドヴォケート誌で残した功績などの話が掲載された。 パーカー氏に対して批判的な主張をするライターや業界関係者に対し、彼らが主張する「パーカーライゼーション」(パーカー好みの厚みのある、超熟成ワインを造る)は誤った主張と反論した。単純にパーカー氏は様々なワインのスタイルを好むと強調し、特に一定のスタイルのワインを優先的に好んで高い評価を与えた覚えがないと説明した。一方で、「パーカーライゼーション」のトレンド自体は認めているようで、似たようなスタイルのワインが多く誕生し、30年後もこの現象は語られると予測している。 ワイン・アドヴォケート誌の編集長の座から退き、ライターの一人としてボルドーとカリフォルニア地区を担当を続ける。35年間ワイン・アドヴォケートの編集でボルドーを105回訪問してきて、開始当初は35ヶ所の上質なワインを造るシャトーがあったが、現在は高額な価格からリーズナブルの価格までのワインを造るワイナリーは300~400ヶ所にふくれ上がったと語っている。ワイナリーの増加に関しては自身の貢献をインタビューで認めている。このほかにはパーカー氏がお勧めする注目産地が紹介されている。 (ニュース・ソース:The Drink Businessより) *** (イメージ:Foghat Cellarsより) 最後はワイン・スペクテーター誌がパソロブレスのFoghat Cellarsを紹介した。名前から想像してた通り、70年代後半にイギリス出身ながらサザン・ブルーズ・ロックで人気を集めたバンド『Foghat』のメンバーが始めたワイナリー。元々はFoghatのファンであったTalleyVineyardsなどで活躍したワインメーカーのスティーブ・ラスミューセン氏がFoghatのライブをパソロブレスで見て、そこでオリジナル・メンバーの一人でドラマーのロジャー・アール氏と交流を開始する。ロジャーと奥さんのリンダ氏と共に3人で2008年にパソロブレス産のカベルネ・ソーヴィニヨンを90ケース造ってから現在はサンタバーバラのサンタ・マリア・バレーAVA産のシャルドネとピノ・ノワール、同サンタ・イネズ・バレーAVA産のカベルネ・ソーヴィニヨンなどもラインアップに加え生産を大幅に増やしている。価格も20ドル~25ドルに設定されてる。 ロジャー・アール氏と奥さんのリンダさん。 (イメージ:Foghat Cellarsより) ちなみにFoghatは日本語では『フォガット』と呼ぶらしい。昔からFog(霧)Hat(帽子)と思っていたので『フォグ・ハット』呼ぶのと思っていたが、この記事を読んでから、実際のところどっちが正しい呼び方なのかが気になって頭は悩まされている・・・全く関係ないことだが、木管楽器の『バスーン』が『ファゴット』と呼ばれることを知ったときと同じくらいの衝撃を受けている・・・ エルビスとファゴット。 (イメージ:Elvis Blogより) こんなもやもやを状態を晴らすのに抜群の一曲。 (ニュース・ソース:Wine Spectatorより)

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