Category Archives: オーストラリア・ワイン

ワイン・ニュースのまとめ

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。 2014年の一発目は正月休みの間におきたワイン関連のニュースでスタートします。 *** (イメージ:Wine Australiaより) 北半球は冬真っ只中だが、南半球は2014年ヴィンテージの収穫時期は数週間後に開始するが、オーストラリアからは先行きが心配してしまうようなニュースが・・・ 豪州の大手ワイン会社3社のAccolade Wine/アコレード・ワイン社、Pernod Ricard/ペルノ・リカール社、Treasury Wine Estate/トレジャリー・ワイン・エステート社は共に葡萄の仕入価格を最大で50%引き下げると昨年の12月に発表をおこなった。豪州ではワインのオーバーストックと販売が伸び悩むとここ数年の実績が理由として仕入価格の引き下げを行なったと推測される。2011年の干ばつを皮切りに豪州ワイン産業は一時の成長から下降傾向が続いており、葡萄の価格が一時より立て直し上昇傾向であったが、昨年年末の大手ワイン会社の発表は農家にとっては死活問題で、このまま葡萄栽培を続けることができるのかが問われてしまうほのの事態になっている。 すでにシャルドネ種とモスカット種の仕入価格が最も大きく落ち込むと発表が出ている。この事態を踏まえ、白ワインを専門に栽培している北西ヴィクトリア産地の葡萄農家協会の代表者は多くの葡萄農家に影響が出ると予測しており、このまま葡萄収穫を行なわず、必要な手続きを行なう農家も出るとも予測している。特に残念なことは葡萄そのものには特に質も問題はなく、オーストラリア全体で見るとワインの評価が高まっていることが実態。 急激に成長したオーストラリアのワイン産業が一旦リセットする意味で仕方がないことなのか、それとも何か産業全体の巻き返しか、葡萄農家への救済策がとられるのを待って我慢するのか、重大な判断が多くの農家に迫っていることだけは確かだ・・・ (ニュース・ソース:ABCより) *** (イメージ:The Wall Street Journalより) フランスのソーテルヌ産地でも重大な判断が迫っている。ソーテルヌはセミョン種とソーヴィニョン・ブラン種の葡萄で造られる貴腐ワインが真っ先に頭に浮かび、極甘口でデザートワインとして味わわれているワインを連想すると思う。有名な生産者としてはシャトー・ディケムが挙げられる。 ソーテルヌ産地は5つの村(ソーテルヌ、ボンム、フォルグ、ブレイニャック、バルザック)で構成されおり、ボルドー南部の<グラーヴAOC>の一部となっている。実はアルコール度数が13%以上の甘口貴腐ワインのみが<ソーテルヌAOC>の表記を許可されており、同じ生産地でその他のスタイルの白ワインはすべて大まかな<ボルドー・ブランAOC>の表記を使用する。 ここ数年、甘口貴腐ワインの業績が伸び悩んでおり、ソーテルヌでは上質は<ドライ・スタイル>の白ワインも生産していることを認知してもらうために、<ドライ・スタイル>の白ワイン限定に、大まかな<ボルドー・ブランAOC>よりも更に産地を特定できる<グラーヴAOC>の表記を使用し、売り出す案が出ている。 これに待ったをかけているのが、ソーテルヌ産地を代表する甘口貴腐ワインを造る生産者たち。隣のセロンAOCでもおきた現象で、同じように<グラーヴAOC>の表記を許可した後に、多くの生産者が甘口貴腐ワイン造りから離れてしまい、<ドライ・スタイル>専門にスイッチしてしまったのである。当然、ソーテルヌ産地の5つの村の生産者も、市場がドライ・スタイルを求めているのなら、そっちに切り替える生産者も出てくると考えられ、伝統的な貴腐ワインを扱う生産者が減少する可能性もある。 伝統を守り続けるのか、それとも市場の需要を追って生産をおこなうのか議論が高まるような気がする・・・ (ニュース・ソース:Decanterより) *** (イメージ:My Beautiful Adventuresより) 最後はカリフォルニアから。特にニュース性はないが、国内でもお馴染みのRavenswood/レイヴェンズウッドの創業者、元ZAP(ジンファンデル・アドヴォケート&プロデューサー)の代表、そして現在はワイン・グループ会社大手のコンステレーション社でシニア・ヴァイス・プレジデントを勤めているジョエル・ピーターソン氏がDrink Business誌のインタビューでカリフォルニア特有の品種の一つ、<ジンファンデル>の今後の展開を予測する内容を公開した。 ピーターソン氏は<ジンファンデルのゴッドファーザー>と呼ばれることもあり、リッジのポール・ドレーパー氏と共に30年以上、ジャグ・ワイン(バルク・ワイン)から始まった葡萄がプレミアム・ワインに使用されるカリフォルニアを代表する品種に仕立てた貢献度は誰もが認めている。 レイヴェンズウッドやリッジはジンファンデルの扱い方に対して研究を1970年代から重ねてきた。ピーターソン氏は当初のジャグ・ワインから<オールド・ワールド>スタイルでプレミアム・ワインとして理想とされる12.5%~14%のアルコール度数のワイン造りに取り掛かった。一方で<ジンファンデルの誕生地>と呼ばれるアマドール郡では遅積みの超熟成でアルコール度数16%のワイン造りが盛んに行なわれていた。結果的に90年代に入るとピーターソン氏が目指していたスタイルと超熟成スタイルの中間あたりを<Turley/ターリー>が表現することに成功し、ジンファンデルとして初めてロバート・パーカー氏から100ポイントを<Turley 1994 Hayne Vineyard Zinfandel>が獲得した。それでもピーターソン氏にしてみれば、ターリーのワインはオーク樽臭が強く残り、高いアルコール度数のワインであったことから更に研究に取り掛かり、一方でパーカー好みで高い評価を得られるのであればターリーのスタイルを再現しようと多くの生産者が<フルーティ>や<ジャム感覚>のジンファンデルが多く造られるようになった。このトレンドが2009年まで続いたが、2010年と2011年は気温が上がらず超熟成にジンファンデルが足しなかったことや新たなスタイルに挑戦する若手のワインメーカーが現れ、ピーターソン氏が目指していたジンファンデルへの動きが高まった。 (イメージ:Cellar Trackerより) 現在は大きく2つの分野での研究が盛んに行なわれている。まずは長期貯蔵向きのジンファンデルを造ること。そもそもジンファンデルは若い、早飲みに適していると思われていたが、長期貯蔵を考慮し十分に酸とタンニンの抽出を行なえば貯蔵向けのワインを造ることも可能とわかった。もう一つはフランス製オーク樽よりアメリカ製オーク樽のほうがジンファンデルの樽熟成に向いていることが試験で明らかになり、これまでフランス製を使用していたリッジでもアメリカ製にスイッチした傾向が進んでいる。 … Continue reading

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近代建設のワイナリー

イギリスのテレグラフ紙で近代的な建設設計で建てられたワイナリー施設の特集を掲載した。 以前にもこのブログでも紹介したイタリアのトスカーナ地方のスーパー・タスカンのAntinoriの斬新なワイナリーのデザインを取り上げるなど、このほかにもナパ、オーストラリア、スペインなどにも印象的な建設を駆使したワイナリーを紹介した。 まずは1998年に建てられたナパ・バレーのDominus Estateが紹介された。このワイナリーはスイス出身の設計チームがデザインした建物で、ナパの近代的なデザインのワイナリーの一つとして多くの注目を集めた。 遠くから見ると石が積まれたシンプルな建物に見えるが、近くにいくと鉄の骨組みの檻に無数の岩が置かれていて、光を通す壁になっている。実はこのワイナリーは一般向けのテースティングを行なっていないので招待なしでは敷地に入ることもできず、当然、勝手にワイナリーを見学することもができない。最近、新しいウエブサイトで建物のデザインを紹介しているので、そちらで多少ご覧いただけます。 (イメージ:Dominus Estateより) 次はオーストラリアのヴィクトリア州のヤラ・バレー産地にワイナリーを構えるMedhurst Wines。2012年にオーストラリア国内建築デザインの商業施設部門で表彰されたワイナリー。こちらはワイナリーでのテースティングを行なっているので、見学可能。巨大な壁を設置したようにしか見えないのだが、裏にあるワイナリー本体と上手に調和が取れたデザインであることを想像できる。 (イメージ:Medhurst Winesより) 最後はスペインのリオハから。正確にはリオハ・アルタ産地で創業125年の実績があるVina Tondonia Winery。こちらはワイナリー自体は古く味のある施設だが、新しいテースティング・ルームが最近開設されて建築デザインが注目を集めている。カラフをモチーフに正面・入り口のデザインが印象的で、また古い建物と上手にマッチさせているところが魅力的。 (イメージ:TondoniaWineryより) このほかにもイタリア、ポルトガル、中国などの斬新な建物のワイナリーがテレグラフ紙の記事の中で紹介されている。 (ニュース・ソース:Telegraphより)

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電子レンジでピノ・ノワールを『チン!』

ワイン・スペクテーター誌で掲載された記事で新しいワイン造りの手法・行程が実験的に試されていることが紹介された。オーストラリアのタスマニア大学でピノ・ノワール種の醗酵を行なう前に電子レンジで葡萄を温めることでより均等なタンニンと色の抽出が可能になることがわかった。 タスマニア大学のカルー博士。 (イメージ:abc.net.auより) タスマニア大学のアナ・カルー博士は北タスマニアの複数の畑からピノ・ノワールを入手し、それぞれ2キログラム単位にわけ、家庭用の電子レンジを活用し、1~2分間、複数のバッチで温めた。電子レンジに浸かった葡萄はそれぞれ70℃まで温められ、それそれ30℃まで温度を下げた後に、これまた家庭用の押し込み型のコーヒーメーカーで葡萄の圧搾を行なわれ、18ヶ月間ガラスの瓶の中で保管された。 コーヒーメーカーで葡萄の圧搾。 (イメージ:Ikeaより) まずはそれぞれ電子レンジに入った葡萄は醗酵が早く済んだことがわかった。これは酵母菌での醗酵ミスを防ぐのに役立つ。醗酵期間が短い期間でありながら、色とタンニンの抽出量は高い数値を示した。これまでも一般的に高い抽出量を目指す際にタンクごと温める手法が活用されていたが、温めることで香りと味わいに影響を与えるリスクが存在していた。また、電子レンジを活用したことで均等な抽出量を得ることができることもわかった。 電子レンジで植物(野菜や果物)を温めると外側の細胞を破壊し、絞れた形に、食べる際にあまり好ましくないが、葡萄から栄養、色素、苦味などを抽出したい場合、これほど効果的な方法はないとカルー博士は説明している。 この研究結果は本当に実用性があるのかはこれから更なる研究で判断するとUC大学デイヴィス校のワイン専門学部のアンドリュー・ウォーターハウス教授はコメントしている。この発見のポテンシャルは高いが、まずはコスト面と最終的な味わい面でのリサーチが必要と加えている。 以前このブログでも紹介した<フラッシュ・デタント>の基本コンセプトと似ている。時には味わいに関して苦味やタンニンが強すぎて出てしまうと、この手法に対して<推奨派>と<否定派>に分かれる。 予想として、何十トンの葡萄を一気に温める電子レンジの開発や最終的にはワインの味わいや長期熟成後にどのような違いが出るのかがわかるまではこの手法が広まるのかは判断できないような気がする・・・ *** レンジで『チン』されたピノとは関係ないがオーストラリアのタスマニア産の注目ピノをいくつか・・・ 日本でも入手可能で評価が高いがお手軽価格の<ジョセフ・クローミー>のピノ・ノワール。 (イメージ:Australian Wine Journalより) 同じく北タスマニア地方を代表するベイ・オフ・ファイヤーのピノ・ノワール。 (イメージ:Wino sapienより) ストーニー・ライズのHolymanピノも高い評価を獲得している。 (イメージ:QWineより) タスマニア産のワインを試してみて、サポートしましょう! (イメージ:TamarValleyWineRouteより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより)

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<イエロー・テール>から$100ワインをリリース

(イメージ:YellowTailより) オーストラリアの人気ブランド<イエロー・テール>が通常のワイン・シリーズの13倍の価格のワインをリリースする。<Casella 1919>シリーズと呼ばれる新たなワイン・ブランドはサウス・オーストラリアのバロッサ・バレー、ワートンブリー、クーナワラ産地で栽培されたシラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンを使用したワインは高額の100ドルの小売価格が設定されている。イエロー・テール・ブランドを開発したワイン会社のカッセラの創業者の祖先、ジュゼッペ・カッセラ氏がシチリアで葡萄栽培を始めた年を今回のシリーズ名に活用した。 (イメージ:Casella Wineより) 2001年から売り始めた<イエロー・テール>は世界で10億本の総売上を記録しているが、近年はチリ、アルゼンチン、南アフリカ産のワインのシェア拡大により、オーストラリア産のワインの全体のシェアは落ち込み、特にアメリカ市場のシェア低迷が大きく影響を与えており、カッセラ社は<イエロー・テール>以外の新たな商品開発に力を入れている。 今回の新しいワイン・シリーズには100ドルの価格以外にも15ドル、25ドル、40ドルの価格ワインが含まれる。これまでの<イエロー・テール>より本格的で上質なオーストラリア・シラーズの味わい挑戦する。高級ワインと同時に新たなワイン・カクテルの商品化も近日リリースされる予定。2種類のワイン・カクテルには<Bondi Rd>のブランド名でワイン・スプリッツアー(ソーヴィニヨン・ブランと炭酸水をブレンドしたカクテル)を開発し、また<イエロー・テール>シリーズに<サングリア>を加え、アメリカのラテン人口市場にアピールする商品をリリースする。 (イメージ:YellowTailより) オーストラリアの昨年のワイン輸出は過去12年間で最も大きい39%の落ち込みを記録した。一方でカッセラ社は昨年は特にアメリカ市場向けでは業績を上げることに成功し、前年の0.2%から4~5%の売上上昇を記録し、この先は新たな商品で更なる巻き返しを図ろうとしている。ワイン・ベースの新しいアルコール飲料で余るほどの葡萄在庫を効率よく活用し、また高級ワインのより高い利益率の商品を市場に出すことで様々な方法で業績を伸ばそうとしている。同じオーストラリアのTreasury Wine Estate社は大量に余った在庫を処分して税金還付戦略とは異なったビジネス戦略を取り入れているカッセラはこれまでも<ミレニアム世代>の間で人気のモスカットをラインアップに加えるなど市場や消費者のニーズに敏感なビジネスの決断は<吉>に出てるような気がする・・・ (ニュース・ソース:Bloombergより)

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ワイン・ニュースのまとめ

先週、紹介できなかったワイン関連のニュースをいくつか・・・ まずはオーストラリアの大手ワイン企業Treasury Wine EstateのCEOのデヴィッド・ディアリー氏が先週のはじめに解雇されたとのニュースが報道された。 (イメージ:Treasury Wine Estateより) 今年の7月にアメリカ向けに保管されていて売れ残りが予測されていた3300万ドル(32億2700万円)相当分のワインを売らずに処分するビジネス対策で業界を驚かせた人物。アメリカでの業績の落ち込みを心配するよりも、オーストラリア株式市場での株価の下落で消費者の信用を失ってしまったことが大きな要因と推測されている。豪州を代表するペンフォールズやウルフ・ブラス、ローズモントなど傘下に持ちながら、アメリカでもいくつかの有名ワイナリーを所有している。いくつかの業界専門家は今後はアメリカで所有する資産は一旦手放し、豪州産のワインでシェア回復に専念することを予測している声が増している。 ちなみに、ナパで開催されたWine Industry Financial Symposium(ワイン産業金融関連シンポジューム)でゲスト・スピーカーを務める予定であったディアリー氏は、残念ながらやむ得ない事情から、イベントの参加を辞退されたとか・・・ (ニュース・ソース:PressDemocratより) *** 一方、アメリカに本社を構えるコンステレーション社は総額2千万ドル(19億5700万円)をカリフォルニアで所有する複数のワイナリーに投入し、生産規模の拡大を目指していると発表。 今回、投資を行なう分野を4つわけて考えている。 (1) 葡萄栽培の増加:ロダイとサン・ホアキン・バレーに750エーカーの土地を購入およびリースし、栽培増加を目指す。 (2) ワイン醸造の増加:モントレー・カウンティにGonzales Wineryで醸造タンクを増やし、7万トンから8万トンに製造量を増やす。 (3) 醸造・熟成の増加:サン・ホアキン・バレーのTurner Road Vintners (TRV) Wineryでは7千トンの醸造が可能になり、150万ガロンの貯蔵キャパを超える保管スペースを確保。またソノマのClos du Bois wineryでは100万ガロン分のワインが醸造が可能なステンレス・タンクを加える。 (4) ボトリング・パッケージング機能の増加:サン・ホアキン・バレーのTRV wineryではTetra Pak(パウチ型ワイン)のボトリング機材を導入し、容量500mlのVendange Tetraを独自の施設でボトリング・パッケージングが可能となる。また、マデラ・カウンティのMission Bell WineryではBag-in-Box(ボックス型ワイン)の製造ラインの機能を50%増やす投資を行なう。この他にサン・ホアキン・バレーのWoodbridge Wineryでは187mlのPETボトルの製造ラインを加える。 (イメージ:RachelRayMagより) アメリカ国内のワイン需要が増えている中、昨年と同様に2年連続で豊作のカリフォルニアでは葡萄の在庫が十分に確保できることを考えると、葡萄農家やワインの設備屋にとって今回のコンステレーション社の計画発表はうれしい限りの話。中小規模のワイナリーや一般のワイン会社がなかなかできない資金投資を率先して国内の大型企業がワイン産業に注入し互いの得意分野に焦点をあて、そして互いに産業全体を支えあうことが健全な産業の基盤ができている象徴を表れなのかもしれない・・・ (ニュース・ソース:Constellation … Continue reading

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オーストラリアのTorbreckで創業者が追い出される

オーストラリアを代表するプレミアム・ワインの一つにバロッサ・バレーの<Torbreck/トルブレック>をあげる人は少なくない。オージー・ワインのファンの間では常にワイン専門誌で高得点を獲得している<RunRig/ラン・リグ>は一度は試したいワインの一つとしてウィッシュリストに載っているはず。 5~6種類のシラーズにヴィオニエをブレンドするコート・ロティ・スタイルのRunRigは常に高い評価を獲得しているワイン。 (イメージ:Torbreckより) そんな人気ワイナリーから衝撃的なニュースがワイン・スペクテーター誌で報道された。Torbreckの創立者・ワインメーカーの<David Powell/ディヴィット・パウエル>氏がワイナリーを退社したとニュースが新オーナーの<Pete Kight/ピート・カイト>氏が発表。1994年にパウエル氏が開業したワイナリーは希少な古木を複数の葡萄畑から供給を行って上質なワイン造りを行ってきた。代表的な<RunRig/ラン・リグ>に関しては5~6ヶ所の畑から樹齢数十年の葡萄をブレンドし、ワインを造っている。上質なワイン造りには資金を惜しまないスタンスで取り組んできたが、2003年には資金不足からオーストラリアのファースト・フード・チェインのHungry Jackの創業者ジャック・カウィン氏に資金と交換に会社の権利を譲るなど常に金銭トラブルが絶えなかった。 Torbreckの創業者ディヴィット・パウエル氏。 (イメージ:Torbreckより) 2006年にソノマのドライ・クリーク・バレーAVAの<Quivira Vineyard and Winery/キヴィラ・ヴィンヤード>のオーナーとなって活躍していたカイト氏とアメリカで出会い、更なる資金供給及び会社権利を取り戻す手助けする話し合いが行なわれ、2013年までにパウエル氏とカイト氏とのパートナーシップでTorbreckのブランドを更に世界に広め、経営面でも安定させることを目指していたが、今年の7月にパウエル氏とのパートナシップを継続しないとのカイト氏が判断。パートナーシップの条件でパウエル氏はカイト氏が提示した金銭条件を満たすことができなかったことから、事実上、カイト氏が創業者のパウエル氏をTorbreckから追い出す形となってしまった。 ソノマのQuiviraで活躍するピート・カイト氏。 (イメージ:A Good Time With Wineより) カイト氏はワイン・ビジネスに参加する前には金融テクノロジーのビジネスで成功を収め、多額の富を得た実績の持ち主。パウエル氏は当時、カイト氏から提示されたパートナーシップの条件はパウエル氏にとって不利の条件であったと理解していたが、資金問題やカイト氏との信頼関係が築かれていたことから、まさかパートナーシップ解除は想定していなかった。 すべてを失ったパウエル氏は数年後に現在フランスでワイン修行を行なっている息子さんたちと再度ワイン造り及びワイナリー経営に挑戦するコメントを残した。 このニュースはワイン業界に大きな衝撃を与えている。実際にTorbreckのオーナーが変わったことよりも、パウエル氏の疎かな判断。一方で、カイト氏のしたたかなビジネス・マインドなどが当事者同士のコメントやインタビューから明らかになったことが関心を集めていると考えられる。パウエル氏は職人で自ら世界を飛び回って自分の造ったワインの営業を得意としていて、カイト氏は卓越したビジネス・マインドでいかに効率的な投資および投資回収ができるのかが優先させていたと考えられる。 カイト氏は現在Torbreckで扱っているワインのラインアップを現状で維持し、世界各国からの需要を高め、超プレミアム化を目指すことを考えていた。一方、パウエル氏はオーストラリア各地の葡萄畑との葡萄供給を増やし、更に希少で上質なワインをラインアップに加えことでブランドの価値を高めることを優先的に考えていた。どっちの考え方が正しいのかがわからないが、結果的に微妙に意見の違いがあったことがパートナーシップの解除となったと考えられる。パウエル氏は不利な条件でのパートナーシップであったことを知っていながら、このような事態になってしまったことはお粗末にも捉えられる。 カイト氏は2006年からCraig Isbel氏がTorbreckのワイン醸造責任者として任せていることから、今後もワインの品質に関しては心配ないと主張しているが、パウエル氏はこの認識は誤りで、Isbel氏を採用後も常に醸造決断に関わってきたと説明。逆にパウエル氏が営業活動中に世界を飛び回っている間、2009年ヴィンテージの<The Laird/ザ・レアード>は熟成の貯蔵ミスが発生し、売り物にならない味わいが変化したことを公表した。パウエル氏は現状のワイン醸造チームの体制に対して心配をもらしている。 ワイン・スペクテーター誌がこのニュースを公表してからカイト氏とパウエル氏はそれぞれ地元紙に見解の違いを主張するコメントやインタビュー(カイト氏インタビュー&パウエル氏インタビュー)を公表している。今後も更なる事態の泥沼化が予想される・・・ 樹齢数十年のシラーズ、グルナッシュ、ムールヴェードルなどローヌ系の品種で上質なワイン造りを行なってきたTorbreck。お手ごろ価格の<ウッドカッター・シリーズ>は国内でも入手可能。 (イメージ:Torbreckより) (ニュース・ソース:Wine Spectatorより)

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ワイン・ニュースのまとめ

先週のワイン関連のニュースをいくつか・・・ まずは国内でもここ2週間は猛暑日が続いたが、カリフォルニアでも7月に入って猛暑日が続いており、それに関連して様々な産地から葡萄栽培の進行状態のレポートが入っている。 (イメージ:flickr/Chris Kiranbayより) 北カリフォルニアのナパ・ソノマでは<Veraison/ヴェレゾン>(葡萄の色づき)のタイミングが大きな関心事。赤ワイン用の葡萄では緑色の葡萄の果皮が紫色に変わる時期で、これまで蓄積してきた酸が少しづつ糖度に変わって行く。ヴェレゾンで最も気になる点が十分に酸が構成された状態で、糖度に変化するかがポイント。多くの北カリフォルニアの畑では例年より2週間程度栽培が早まっており、十分な酸が構築される前にヴェレゾンが起きることが気になる要素。 ナパの<Hourglass Wine/アワーグラス・ワイン>のジェフ・スミス氏の話によると7月前半の猛暑日でヴェレゾンがすでに始まった畑があり、今のところは特に問題はないが、再度、連続で猛暑日(100℉/37.7℃)が続くと糖の構成が急激に早まり理想の葡萄の味わいから少し離れてしまう。 (イメージ:My Vine Spotより) 一方で猛暑日は続いたことで今年はうどん粉病の心配はなくなったと報告もある。 ナパのジョーダン・ワイナリーからヴェレゾンに様子を画く動画。 (ニュース・ソース:Western Farm PressとWine-Searcher.comより) *** オーストラリアからは気になるニュース。世界最大規模のワイン企業の一つTreasury Wine Estateはアメリカ市場に対するワインの業績が予測より大幅に下回ったことから、アメリカ向けに保管されていたワインを処分することを決めた。総額で1億4500万ドル(144億7000万円)相当分のワインで、低価格(4ドル以下)で<早飲み>のワインが対象となった。 以前からオーストラリアではワインの造りすぎが問題となっていたが、大手ワイン企業がこれだけの数量の処分は異例。酒販店や卸業者から返却されたワインに掛かった税金は返還されるものの、会社の業績に影響することは間違えない。今週、オーストラリアの株式市場ではすでに株価は12%下落した。 今後は9ドル~12ドル、12ドル~15ドル、15ドル以上などの価格帯のワインがアメリカでは伸びているので、こちらのワインに力を入れ方向転換を図る。また中国市場拡大にも更に力を入れる予定でワインバーやレストランを現地会社と共同でオープンし、オーストラリア産のプレミアム・ワインをアピールしていく予定。 Treasury Wine Estateはオーストラリアを含め世界各国にワイナリーを傘下に持つ大型ワイン企業。TWE傘下の有名ワイナリーには Penfolds(バロッサ)、Rosemount(南オーストラリア)、Wolf Blass(バロッサ)、Beringer Vineyards(ナパ)、Stags’ Leap Winery(ナパ)Chateau St-Jean(ソノマ)、Castello di Gabbianno(トスカーナ)などがが含まれる。 (ニュース・ソース:Wall Street Journalより) *** (イメージ:21Foodより) 最後はシンガポールからシンガポール国立大学ではドリアンを利用してワインの開発に成功したニュースが発表された。ドリアンにはきつい臭いがつき物で、味わいは別にして、臭いだけで多くの人が避けるフルーツだが、実際には果実には多くの硫黄が含まれており、アルコールと一緒に摂取すると体内で化学反応が起き、時には死に至ることもあるとの説が存在する。この説の信憑性は別として、今回のドリアン・ワインは醗酵段階で硫黄の量を大幅に減らすことができ、体への害はいっさいないと開発者は主張している。開発者によるとクリーミーな色合いに、バターのような味わいが楽しめると説明している。 (イメージ:The Drink … Continue reading

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オーストラリア発のワイン・ニュース

オーストラリアから残念なニュースと気になるニュースが伝わってきている。 (イメージ:Peter Lehmann Winesより) まずは、オーストラリアを代表するワイナリーの一つ<ピーター・レーマン・ワイン>の創立者ピーター・レーマン氏が82歳で亡くなった。1979年にピーター・レーマン・ワインを設立するきっかけとなったのが、大手ワイン生産者がワインの供給過剰問題でバロッサ・バレーの契約農家から葡萄の買取を停止する事態がおき、地元農家を援助する目的で葡萄を買い取り、それを自ら醸造したのがワイナリー開始説と伝わっている。バロッサ・バレーの葡萄農家を救った功績に止まらず、上質な<オーストラリアン・シラーズ>の生産者の一つとして<バロッサ・バレー>を世界に広めた功績も大きい。個人的にはラベルに画かれた様々のアートが印象的で、コスト・パフォーマンスのよさも含めて消費者に好印象を与えるのが上手なワイナリーであると感じていた。ご冥福をお祈りします。 (イメージ:The Tasting Noteより) *** レーマン氏がワイナリー創業したきっかけとなって、オーストラリアでは度々取り上げられるワインの供給過剰問題に関する気になるニュースが同時に伝わってきた。オーストラリアのNews社によると、2013年の葡萄収穫は前年と比べ10%増加し、供給過剰状況が存在する中で、好ましくない事態であると専門家は話している。 (イメージ:VineTalkより) 本年度に183万トンの葡萄がワイン醸造に利用され、昨年より17万トン上回る結果となった。また、この数字は過去6年平均を上回る数字でもある。Winemaker’s Federation of Australia(豪州ワイン醸造家の連合会)の代表のポール・エバンス氏によると今年の収穫は天候の影響もあまりなく、平均的なシーズンであることを説明したが、国内外のワイン需要を考慮すると生産量は高すぎると加えた。醸造量が増えることで在庫が余ることが予測され、在庫をさばくのに価格を下げるれば、ワイナリーの利益に影響が出ると心配している。 調査によると約7割の生産者が損益分岐点またはそれ以下の状況でおかれており、葡萄生産の引き下げの対策をとるか、国内外での需要を確保する対策をとる必要性に直面している。生産量と需要のバランスを見直す調査はすでに始まっており、8月末までにその調査結果が明らかになり、さらに対策を練る考えでいる。 供給過剰問題が今後どれほどオーストラリア・ワイン業界に影響を与えるのかは定かではないが、2013年の葡萄の品質は上出来で、ワインの質で国内外での需要を高める大きな鍵になると期待したい・・・ (イメージ:VirginWinesより) (ニュース・ソース:WineBusiness.comとNews.com.auより)

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ペンフォールズ<グランジ2008>販売開始

(イメージ:Penfoldsより) オーストラリアを代表するプレミアム・ワインのペンフォールズ・グランジの2008ヴィンテージがワイン・アドヴォケート誌からパーフェクトの100ポイントを獲得し、このプレミアム・ワインを取り扱う販売店の間で価格競争が繰り広げられていることが話題に。 先週の木曜からオーストラリアで販売が開始されたペンフォールズの「グランジ2008」の希望小売価格は$785豪州ドル(約78,948円)で始まったが、発売初日が終了する前にオーストラリアの酒店チェーンのダン・マーフィー社や大型スーパーチェーンのコストコ社などでは$645豪州ドル~$650豪州ドル(約64,868円~65,371円)まで約2割引きの値下げを発表した。これに続いてシドニーのワイン専門小売店のケミニーズ社も値下げ合戦に加わり、当初の価格から$645豪州ドルに変更した。この値下げ合戦はオーストラリアに止まらず、イギリスにも飛び火しFarr Vintner社は£422.40英国ポンド(約$641.58豪州ドル)に価格が登場。 ペンフォールズの親会社、トレジャリー・ワイン・エステート社は2007年に販売した「グランジ2002」を$499豪州ドルの希望小売価格を設定し、このヴィンテージから今年のワイン・アドヴォケート誌の100ポイント・ヴィンテージまで約57%の値上げを行なったこととなる。ワイン・アドヴォケート誌以外にもオーストラリアを代表するワイン批評家のジェームズ・ハリデー氏も98ポイントを与えるなど2008ヴィンテージに対し高い評価が集中しているが、値上げ率を考慮しても希望小売価格は少し高いような感じがする。日本の販売開始は不明だが、いくつかのネット・ショップで2002、2004ヴィンテージを30,000円~45,000円程度で販売している。いくら評価が高くても倍近くの価格で2008ヴィンテージを入手したいと思う人がどれだけいるのかがわからない・・・ ちなみに今回のグレンジの価格競争ニュースと同時期に掲載されたニュースで、オーストラリアのNEWS社の特集で「グランジ2008」を含む最近リリースされたワインのブラインドでの試飲レビューが掲載され「グランジ2008」と同じポイント数の評価を獲得したのがRobert Oatleyの2011 McLaren Vale Shiraz。1本$22.95豪州ドルでコスト・パフォーマンスも抜群。このワインは日本未入荷だが、オーストラリアに行かれる方やインターネット・ショップで日本まで輸送してくれる店があれば、要チェック。 (イメージ:Bon Coeur Fine Winesより) マギル・エステートのペンフォールズ本社敷地内にあるセラー・ドア(テースティング・ルーム)ではグランジの発売開始を記念するイベントが開催される。今年のイベントの様子の写真をいくつか。 上:ワインメーカーのピーター・ガゴ氏。下:販売開始の合図を示すスタッフ。 (イメージ:News.com.auより) (ニュース・ソース:TheDrinkBusiness&News.com.auより)

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ザ・マスターズ&ワイン

マスターズ初日のロリー・マキロイのアプローチ・ショット。 (イメージ:La Porra Te Saludaより) 今週は恒例の『ザ・マスターズ』大会が開催され、週末はオーガスタ・ナショナルの青々とした緑が広がるコースに満開を向かえた様々の花々の映像を眺めているだけで心が落ち着く。アザレア(つつじ)やドッグウッド(ミズキ)などと日頃全く見向きもしない植木に付く花の咲き具合が気になり、遼くんからタイガーくんの注目選手、ロリーやリッキーなどの若手有望株の活躍を期待しながら週末をのんびりテレビの前で過ごすのを楽しみにしている。 読書や音楽鑑賞と同じようにテレビでのゴルフ観戦にワインは欠かせない。特に日本では深夜の時間帯にダイジェスト放送を流してくれるので本当にありがたい。バーガンディー色のローブを身にまとい、本皮のスリッパをひっかけ、飼い猫を膝の上に置き、ソフアーに腰をかけて、ゆっくりとワインを楽しむ・・・そんなテレビ観戦中についついタブレットやノートパソコンでウェブ巡りをしてしまう悪いクセに見舞われている方にはブログ投稿の下記にあるのリンクをオススメします。 近年、ワイン業界の参入するプロゴルファーはネーム・バリューだけでなく、本格的なワイン造りへの取り組みが目立つ。アーニ・エルス氏は南アフリカのトップ・クラスの<Rust en Vrede>ワイナリーを運営しているジャン・エングルブレック氏と組んで独自のワイナリーを営んでいる。女子プロのクリスティ・カー氏はナパの<Pride>ワイナリーのメンバーと組んで独自のワイナリーを行なっている。2003年マスターズの優勝者のマイク・ウェア氏はカナダ東部のナイアガラ・オン・ザ・レイク産地の老舗ワイナリー<Château des Charmes>と組んで2005年から本格的なワイン造りを行なっている。 最近、気になったのがプロゴルファーではなく、アメリカのスポーツキャスターで『ザ・マスターズ』のアナウンサーとして長年スムーズな口調のトークで人気のジム・ナンツ氏。ナンス氏はゴルフのほかにNCAA大学バスケの決勝戦やアメフトのスーパーボールの実況アナでも活躍。そのナンツ氏は最近、ソノマのアレクサンダー・バレーにワイナリーを開業し、わざわざ東海岸からソノマに移り住むほどのこだわり様。アレクサンダー・バレーのカベルネ・ソーヴィニヨンやロシアン・リバー・バレーのシャルドネをラインアップに入れ、かなり本格的なワイン好きの様子がうかがえる。 ゴルファーが営むワイナリー: ゴルファー名(産地) ルーク・ドナルド/Luke Donald(ナパ) アーニー・エレス/Ernie Els(南ア) ニック・ファルド/Nick Faldo(豪州) デビッド・フロスト/David Frost(南ア) クリスティ・カー/Cristie Kerr(ナパ) ジャック・二クラス/Jack Nicklaus(ナパ) グレッグ・ノーマン/Greg Norman(豪州とカリフォルニア) アーノルド・パーマー/Arnold Palmer(ナパ) ゲーリー・プレーヤー/Gary Player(南ア) アニカ・ソレンスタム/Annika Sorenstam(ナパ) マイク・ウェア/Mike Weir(カナダ) 番外: ジム・ナンツ/JimNantz(ソノマ) *** … Continue reading

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