偽ワイン騒動をハリウッドが映画化に
アメリカの元大統領、トーマス・ジェファーソンが所有していたとされる「ラフィット 1787」の真贋性をめぐって、米国の大富豪とドイツのワイン商の間で展開されている訴訟が、映画やドラマになる可能性が出てきた。
この問題は、エネルギー関連企業のオーナー、ウイリアム・クック氏が、購入した「ラフィット 1787」をめぐって、ワインブローカーのハーディ・ローデンストック氏を相手取って、「偽造ワインを販売した」として訴訟を起こした。
このボトルは、クック氏が1985年にクリスティーズのオークションで10万5000ポンドで落札した。手吹きボトルには「ラフィット 1787 Th. J.」と彫られ、トマス・ジェファーソン大統領が所有していたシャトー・ラフィットとされる。ローデンストック氏は時代物のワインの発掘で知られ、パリの古い邸宅の地下セラーからボトルを発見したとして、クリスティーズに持ち込んだ。マスター・オブ・ワインで古酒鑑定の権威マイケル・ブロードベント氏も本物と鑑定した。
ところが、その後、複数存在する「ジェファーソン・ボトル」の真贋性を疑う声がコレクターの間で出てきた。クック氏が、科学者、元FBI捜査官、元英国情報局員を含む調査チームを作って、文献やボトルの分析をしたところ、偽造の疑いが強まった。このため、ローデンストック氏を相手取って、2006年8月にニューヨーク連邦裁判所に訴えた。
この訴訟は、ミステリー小説を連想させる展開から、「トーマス・ジェファーソン・ボトルズ・ケース」と呼ばれ、一時は司法省やFBIまで捜査に乗り出すなど、大きな反響を呼んだ。訴訟は1月に司法管轄権の問題で却下されたが、カウボーイ気質のクック氏は徹底抗戦の姿勢をとり、新たな訴訟を起こす構え。
そのため、最終決着も付いていないのに、米国の映像産業が映像化の権利獲得に向けて動き出した。ボトルの出所をめぐる論争をまとめた5月に出版予定のベンジャミン・ウォーレス氏の本「ビリオネアーズ・ヴィネガー」の映画化権は、俳優のウィル・スミス氏が加わるハリウッドの企画チームが獲得した。事件をまとめたニューヨーカーの有名な記事「ジェファーソン・ボトルズ」は、HBOフィルムが映画化権を獲得した。
ジェファーソン大統領がフランス駐在大使時代にコレクションしたというボトルの時代背景、億万長者とワインブローカーの衝突、200年前のパリの邸宅から見つかったという神秘性、お金に糸目をつけない調査チームなど、様々な要素が映画に向いているらしい。